■ はじめに
レポート「生きづらさの呪縛」では、自ら命を絶った研修医の高島晨伍(しんご)さんのセリフ「もう、明日起きたら、全てがなくなっていたらいいのに」を紹介しましたが、あなたは同じようなことを考えたことがありますか?
あらゆるイベントには終わりがあります。たとえば受験勉強には終わりがあります。祭りにも終わりがあります。しかし残念ながら・・・高島晨伍(しんご)さんを苦しめていたものは「終わらない」のです。
『終わりがある』と思えば、多少つらくても「もう少しだけ」と自分に言い聞かせて頑張ることもできるでしょう。しかし『終わりがない』となれば、どうでしょうか?
高島晨伍(しんご)も、自分を苦しめていたものが「終わらない」ものであることに、無意識に気づいていたのだと思います。だからこそ肉体的にも精神的にも追いつめられてしまい、「ちょっと落ち着いたら、うまいものでも食べにいこう!」ではなく、冒頭のセリフを吐き出すしかなかったのだと思います。
高島晨伍(しんご)さんを追いつめていたものはなんでしょうか?わたしたちを勝ち組・負け組論や自己責任論に縛るものはなんでしょうか?他人のことには無関心で、自分にとって少しでも得になるようなポジション競争(椅子取り合戦)に駆り立てるものは一体、なんなのでしょうか?
ズバリ・・・・
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