30分ごちゃごちゃ怒られた

映画『えんとつ町のプペル』の原作・総監督を務めた西野亮廣(にしのあきひろ)さんは、全国の映画館を飛び回って『ファンと一緒に(プペル)鑑賞会』というファン交流会をしていました。

これについてある女性(以下、Aさん)が西野亮廣さんの『エンタメ研究所ラジオ』の生配信中に、「コロナが増えているのに西野さん自身がなぜ行くのか?」という疑問をチャットで投稿したのですが、これに西野亮廣さんが反応します。

「納得いかないなら政治家になって自分がルールを作った方がいい」とか、「ルールを守っている人を攻撃してしまう人が一番の癌なので、そこは真っ先に潰さなきゃいけない」など、Aさんを30分にわたって反撃したそうです。

反論されたAさんは、『コレコレチャンネル』というYouTubeチャンネルに音声出演し、「30分ごちゃごちゃ怒られた。そんな著名人いるのかって思った。自分のファンをあおる形でやるのは不公平です!」と訴えました。あなたはこの件について、どのような感想をもちますか?

経済学の前提

わたしの頭に浮かんだのは経済学の極意でした。経済学を悟る独覚(どっかく、師なくしてひとりで悟ること)のひとつは、「市場が作動する前提条件を知ること」であり、その前提条件の正体は「法意識」です。

どのような法意識なのか?という詳しい説明はここではしません。もし興味があれば、「日本人の法意識」(川島武宜著)という書籍を読んでみてほしいのですが、ここで強調したいのは「経済学の研究対象である市場メカニズムが作動するためには、法が整備されている必要がある」という点なのです。

たしかに「携帯電話市場」、「自動車市場」など、市場がつくマーケットには製造者を規制する法律や、消費者を守る法律が整備されています。

とはいえ、現場でビジネスをやっている人が気にするのは「経済学」ではなく、「どうすれば儲かるか」ということなのです。もしあなたがビジネスに関わっていて、売り上げを伸ばしたいとか、利益率をもっと高くしたいと願う場合には、どのような結論に至るでしょうか?

需要の創造

世界的なインターネットマーケッターの「リッチ・シェフレン」は、『需要の創造』がインターネットビジネスで成功する上での鍵であることを強調しています。

需要の創出とは?

例えば化学式で表現するなら『C』(炭素)の1文字の石ころである「ダイヤモンド」を「愛の象徴」であると定義し、ダイヤモンド抜きのプロポーズなんてものが「ありえない」ものにすることです。

また今日は2月14日ですが、女性から男性にチョコをあげることを、「愛の意思表明」(本命チョコ)であったり、「コミュニケーションの円滑にする作法」(義理チョコ)であったり、「自分へのご褒美」であるかのように錯覚させることです。

そう。売り上げがほしいなら・・・利益がほしいなら・・・・、あなたが何を売るのであれ、それを「欲しい」と消費者に強く強く感じてもらえばいいのです。

とはいえあなたが消費者であれ供給者であれ、くれぐれも留意しておくべきことがあります。ゼロから魔法のように創出した『需要』は、他の商品との差別化競争に巻き込まれているわけでもないし、法律を前提とした市場のなかでやり取りされたものでもありません。

「法律を前提とした市場がない」という事実を理解することはとても重要なことです。なぜならば市場でのやりとりであれば前提として当たり前にあるはずの「法」よりも、別のあるものが優先されやすくなるからです。法律よりも優先されるもの。それは・・・

法より「掟」

世の中には、法律よりも「掟」が優先される社会というものが存在します。そう。あなたが意識しているかわかりませんが、日本も法律よりも「掟」が優先されやすい社会です。

例えば官僚組織。官僚組織の掟は、「事実には目をつむり、日本的ムラ組織の『調和』を保つこと」です。そしてその掟を貫徹するためには、「『我慢』であり『仕方がない』とあきらめる精神構造を身につける」必要があります。(官僚のための官僚による官僚のための日本!?、宮本政於著)

冒頭で紹介した西野亮廣(にしのあきひろ)の話に戻りましょう。

「コロナが増えているのに西野さん自身がなぜ行くのか?」というような疑問は、西野亮廣(にしのあきひろ)さんの立場からすると「調和の破壊」であり「喧嘩を売られた」というように映ったのではないでしょうか。だからAさんからすれば「30分ごちゃごちゃ怒られた」ということになったのではないでしょうか。

『掟』なるものは、そのムラ(コミュニティー)の内部という狭い組織でしか通用しません。掟が「ルール」であると信じてはいけないし、ましてや『常識』であると勘違いしてもいけません。

もしあなたが「掟」を常識であるかのように主張すれば、森喜朗のように激しいバッシングに晒されることになるでしょう。それでは今日もよい一日を!!