赤プリ5人組

森喜朗氏のいわゆる「女性蔑視」発言によって、森喜朗が辞任の意向を固めました。後任には川淵三郎氏が『内定』した・・・という報道がありましたが、その翌日には急転直下、川淵三郎氏の『内定』は白紙になりました。

わたしはこんな話を思い出しました。わたしがサラリーマンだった頃の話です。パワハラまがいの『かわいがり』で厳しく育てられてマネージャーまで登りつめて仕事ができると評判だった男性が、ある日突然、部下にパワハラで訴えられる騒動がありました。

マネージャーは某役員にこういったそうです。「わたしが特別悪いことをしたという意識はありません。なぜならばわたしがやったことは全部、わたしがあなたたちにやられてきたことだからです。」と。

なぜ?こんな話を思い出したのかといえば、川淵三郎氏の『内定』が白紙になった理由が、「密室人事」と批判されているからです。ここまで話せばわたしが何を言い出すのかピンとくる人も多いと思うのですが、順を追って詳しく解説することにしましょう。

森喜朗が総理になった経緯

2004年4月2日、84代目内閣総理大臣の小渕恵三(平成おじさん)が脳梗塞で倒れました。その翌日の4月3日の深夜0時、自民党の有力議員5人(通称:赤プリ5人組)が赤坂プリンスホテルに集まりました。

赤プリ5人組の氏名・役職
  1.  森喜朗(幹事長)
  2. 青木幹雄(内閣官房長官)
  3. 村上正邦(参院議員会長)
  4. 野中広務(幹事長代理)
  5. 亀井静香(政調会長)

注:役職は当時のもの

後任の総理人事について話し合いが行われたのですが、村上正邦参院議員会長(当時)の「あんたがやればいいじゃないか」という発言により、森喜朗の内閣総理大臣が「決定」しました。

そう。ニュース報道をみれば、「問題を起こした当事者である森喜朗が、後任人事を決めるのはオカシイ。最悪。密室人事ではダメ」というような官邸幹部からのコメントが紹介されているわけですが、、、、、

森喜朗こそが密室人事で内閣総理大臣に内定した人物であり、歴史をさかのぼれば、実は日本という国では「密室」で大切なことが決まることは珍しくもなんともないのです。例えば「行政指導」なんてものはその典型例でしょうし、驚くべきことに「密室」政治は現在進行で今も続いているのです。

むしろ戦後の日本で、政治家や官僚が「説明責任」なるものを果たしてきたことなど、(わたしの知る限りでは)スキャンダルによる裁判でその事実が明らかになるというような場合を除き、過去にほとんどないのです。

説明責任

わたしが新入社員の時、資料の修正をしているときに、上司から「なぜ?ここはそういうふうに修正したの?」と質問されて答えに窮することがあったのですが、その時わたしは上司からメチャクチャ怒られました。

上司曰く、「修正した内容自体について怒っているわけではない。自分のやっていることに合理的な理由をもって説明できないのに平気な顔をしているお前のメンタリティーに、怒っているのだ。」とのことでした。

わたしは戸惑いました。なぜならば資料の修正をしているといっても、その修正は本当に細かい部分であり、そんなことにまで理由付けをする必要性があるのか?というのが、当時のわたしの本音だったからです。

今振り返ってみれば、「なぜ?自分は今それを、そのようにしているのか?」というようなことをついつい考えてしまうわたしの癖は、そのときわたしを怒ってくれた上司からのプレゼントだったのかもしれません。

「未来の自分」に対する「現在の自分」からの説明責任をキチンと果たすことは、面倒なことではあるのですが、未来の自分への説明責任を果たすことで「自分は今それをやっていていいのだろうか?」というような迷いから解放されるというメリットもあります。

他人に説明責任を求めることも(特に政治の世界では)とても重要ですが、まずは自分への説明責任を果たすことからはじめてはいかがでしょうか?

最後に「説明責任」の重要性について語りかける印象深いメッセージを紹介しておきましょう。

悲しいかな、歴史を見れば、世の中は親切でも公平でもないことがわかる。普通の日本人がみずから、権力をもった人々に対し、説明する責任と因果関係の説明を求めない限り、市民は自分たちの労働の果実を味わうことはできないだろうし、これまで築き上げたものすべてを失ってしまうかもしれない。

秩序の名のもとに生徒に暴力をふるう教師。日本最後の自然河川にダムを作る建設官僚。家計から搾り取った金を暴力団へのローンの焦げ付きから銀行を救済するために使う大蔵官僚、大きな焦げ付きを作るほど出世する「減点主義」の銀行幹部、辞令一枚で一週間後には遠い都市まで転勤させる会社の人事部長。彼らをして、これらのことがおかしいと思って説明を要求する人々に対し、答えさせるよう、誰かが何かをしなければならない。

【引用:日本経済の本当の話】

「日本経済の本当の話」は、1996年に出版された書籍です。四半世紀が経過したいまでも日本という国は変わっていないのです。そのツライ現実は直視する価値があるかどうかは、この記事を読んだひとりひとりの今後の行動にかかっています。

それでは今日もよい一日を!!