大和銀行事件 ~ 日本が「無法者」と罵られた記憶

書店チェーンのフタバ図書(広島市西区)が金融機関に対し、長年にわたって決算を粉飾していたことが発覚しました。

参考 フタバ図書「粉飾決算」、金融機関に説明 「40年続いた」証言も

また2021年2月17日、日本生命の保険契約者が貯めていたポイントが、営業職員によってアマゾンギフト券やカタログギフトと顧客に無断で交換されていたことが明らかになりました。

参考 日本生命で発覚「客のポイント使い込み」の唖然東洋経済

ここでのポイントは事件の内容がどうしたこうしたということよりも、フタバ図書も日本生命も事件の詳細について社内外にきちんと説明していないという点です。

フタバ図書は「金融機関との約束からこれ以上の回答は控える」とし、日本生命は「今のところ、他の不正事例は判明していない」と回答するのみです。

しかしあなたは驚くかもしれませんが、、、、、歴史を振り返れば、比較にならないほどもっとスゴイ事件があったのです。その事件はまさに小説のようであり、ひとりの大和銀行社員の懺悔からはじまります。

井口俊英の懺悔

大和銀行ニューヨーク支店のトレーダー、井口俊英は1984年から1995年までの11年間にわたって、米国債の不正売買によって11億ドル(約1,100億円)の損失を発生させました。

損失の金額が金額だけにそれだけでも驚きですが、なんとあろうことか、損失を隠すために顧客から預かっていた米国債を勝手に処分することで損失の穴埋めをしていたのです。

1995年7月24日、井口俊英は自らの罪について告白する手紙を大和銀行頭取(当時)の藤田彬(ふじたあきら)あてに送るのですが、それ以降の大和銀行の対応がほんとうにメチャクチャなんです。

大和銀行の上層部は、事件の詳細について把握していたのに、その事実を隠蔽しようとするだけでなく、なんと井口俊英本人に「隠蔽することはできるか?」などと問い合わせていたのです。開いた口が塞がらないとはまさにこのことです。

これだけでも驚きなのですが、さらに驚くべきことに・・・・・なんと・・・・・・日本の監督官庁であり最強官庁の大蔵省も隠蔽に加担していたのです。まさに空前絶後の不祥事に、(当然のことですが)アメリカは大激怒します。

この事件に対するアメリカ人の反応は、「計画的犯行」、「米国の監督当局を欺いた」、「最悪の犯罪」、「愚か者」、「知性のない人々」、「無能な人々」、「善悪の区別がつかない馬鹿者」、「嘘つき」・・・・というものでした。

激怒したポイント

アメリカ当局は何に対して激怒していたのか?

ズバリ、大蔵行政の「不透明性」、「秘密主義」、「傲慢さ」、「銀行とのなれ合い」でした。

大和銀行は当初記者会見で、「井口俊英という一人の男が悪い」ということを強調していました。しかし後になって明らかになったことは、その記者会見ですら嘘にまみれていたということです。

事件の全貌が明らかになると、アメリカ当局は井口俊英という一人の男の犯罪ではなく、大和銀行という都市銀行だけの問題でもなく、大蔵省と日本の金融機関全体の問題であると結論付けたのです。

実はこの事件を発端にして、大和銀行の別の不祥事も明らかになり、そこから先の経緯についても面白いのですが、ここではこれ以上深堀することはしません。興味がある方は、『ニューヨーク発 大和銀行事件』(ダイヤモンド社、水野隆徳)を参照ください。

さてここからが本題です。

発言を撤回する?

日本という国は、いまでも「無法者」の国なのです。ルールを破ってもそれが犯罪になるとは限らない国なのです。

フタバ図書(広島市西区)から逮捕者が出たという話は聞かないし、顧客のポイントを勝手に換金していた社員は「いまだに日本生命に在籍している」ということです。開いた口が塞がりません。

悪いことをやっても「なかったことにする」ことに必死になり、事件が発覚しても全力で外に情報がもれることを防ごうとする徹底した秘密主義の国なのです。

森喜朗はいわゆる「女性蔑視発言」について弁明する記者会見にて、「発言を撤回する」といいました。「発言を撤回する」というのは、「水に流してよ」ということであり、ひらたくいえば「なかったことにしろ」ということなのです。

発言を撤回するという態度は、日本というムラのなかだけではいまだに通用しています。しかし大和銀行事件のときのアメリカ当局の反応が過激であったことからもわかるように、海外では全く通用しない論理なのです。

そもそも「発言を撤回する」というのは、論理的な説明うんぬん以前に、「説明を放棄する」という態度なのです。そう。大和事件にてアメリカ当局がもっとも激怒したのは、「説明責任を果たさなかったこと」であり、はじめから説明責任を果たそうとする意志もなかったことに対してだったのです。

事件が発覚した場合には、すみやかにアメリカ当局に報告するというのがアメリカにとっての常識です。しかし恐るべきことに大和銀行の上層部は「そんなことは知らなかった」という旨の発言をしました。また日本のテレビではコメンテーターが「事件を調査してから報告するべきだ」と頓珍漢な発言をしました。

クルマは赤信号で止まらなければいけません。そんなことも知らない人が車を運転してはいけません。車を運転中に人を引いたらどうするか?もちろんすぐに警察に電話して救急車を呼ぶなりしなければいけません。

しかし都市銀行の上層部は、そのようなことをお構いなしにアメリカで金融取引をしていたのです。まさにひき逃げをしたにも関わらず、何食わぬ顔で日常生活を送る犯罪者のようではありませんか。。。。

見る目が変わる

大和銀行の事件をきっかけに、世界中の金融機関が日本の金融機関に対する評価を改めました。

同様に、森喜朗総理のいわゆる女性蔑視発言によって、世界が日本を見る目が変わりました。欧米の在日大使館からは猛抗議され、ドイツ在住のある日本人男性は、同僚のドイツ人からこんな言葉をかけられたそうです。

日本への印象が悪い意味で変わった。そういうドイツ人は多いと思う。この悪いイメージを払しょくするには時間がかかる。

【引用:リアルライブ

「臭いものにはふたをする」という日本語がありますが、そういうことをいっているうちは現実を直視することもできず、だから改善することもできず、結果的に現状維持にしがみつくことしかできず、そうこうしているうちに日本は没落するしかなく、気づいたときには手遅れになっていることでしょう。

それでは今日もよい一日を!!

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