【空(大乗仏教)#1】相互依存関係

小乗仏教の僧たちは、山奥に引きこもって熱心な研究を続けていましたが、因果について「単純因果」(もしくは複数型因果関係)という構図についてしか考えませんでした。

単純因果

しかし大乗仏教の大天才は、別のカタチの因果関係もあることを発見したのです。

相互依存関係

相互依存関係を図示すれば、以下のようになります。

相互依存関係#1

あるいは、以下のようになります。

相互依存関係#2

現代に生きるわたしたちにとっては、「当たり前」のことだと思うかもしれません。しかし相互依存関係の発想は、ギリシャ哲学にもイスラム世界にもなかったのです。

あなたは驚くかもしれませんが、実は……学問の世界においても相互依存関係について考慮されはじめたのはつい最近のことなのです。

経済学

経済学において、「需要(Y)が消費(C)を生み出すのか?」それとも「消費(C)が需要(Y)を生み出すのか?」ということが長年の論争の的になっていました。

図示すると以下のようになります。

需要(Y)が消費(C)を生み出す?
消費(C)が需要(Y)を生み出す?

なぜ?このようなことが論争になるのかというと、落ち込んだ景気を復活させる時に「需要を刺激するのが正解なのか?それとも消費を刺激するのが正解なのか?」が重要なテーマになるからです。

しかし現在では、以下のような認識が常識になっています。

消費(C)と需要(Y)の関係

日本人にとってはお馴染みの言葉になっている「デフレスパイラル」という言葉も、相互依存関係が前提になっています。

デフレスパイラル

デフレスパイラルとは、「賃金を安くするとデフレが進行して物価が下がる。物価が下がると、ますますデフレが進行して、賃金が下がらざるを得なくなる。」という現象のことです。

デフレスパイラルの恐ろしさは、ひとえに「スパイラル」であるという点にあります。仮にデフレの原因が単純に「原因⇒結果」であったのであれば、その連鎖をどこかで止めれば、デフレは解消します。

しかしデフレは「スパイラル」であるがゆえに、いったんデフレが始動すると、互いに原因となり結果となって、どこまでも波及していくのです。だから止めようにも止められないのです。

だからこそデフレスパイラルは世界の誰もが恐れているのであり、日本がデフレスパイラルから脱出できない原因になっているのです。

夫婦関係の悪化

こむずかしい話をせずに、スパイラルを説明せよといわれれば、わたしは夫婦関係の悪化を挙げたいと思います。

例えば、妻が旦那を攻撃した結果、旦那が妻を攻撃し、ちょっとしたボタンの掛け違いが「離婚」にまで発展することもあります。離婚の原因がお互いにハッキリしないことも多いのは、まさに「スパイラル」の怖さを象徴しています。

タバコと癌の関係

もう少し別の角度から相互依存関係について説明しろといわれれば、「タバコと癌の関係」を挙げることもできます。

実は……タバコが癌の原因になるということは(わたしの知る限り)未だに証明されていません。なぜ証明できないのかというと、タバコを吸う人とタバコを吸わない人を単純に比べても、科学的には意味がないからです。

なぜ科学的に意味がないかというと、その人の体質、食事、住環境、職業など、そういった条件に差があっては、そちらが原因かもしれないという疑問が出るからです。

しかしその他の条件をそろえて、喫煙習慣のあるなしだけというサンプルをつくれるのか?というと現実的には無理なので、タバコが癌の原因だということは証明できないのです。

以上、相互依存関係について説明しましたが、実は……相互依存関係は、大乗仏教における『空』を理解するためには必要不可欠な概念なのです。

次回は大乗仏教の空について、また別の角度から解説したいと思います。

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【空(大乗仏教)#2】ユークリッド幾何学