毎日マジでつまらないのですが?

わたしは高偏差値の高校に奇跡的に合格できたのですが、友人のひとりが「毎日マジでつまらない」とぼやいていたのを覚えています。

わたしの場合は「偏差値が高いから」という理由で受験したわけではなく、その高校でやりたいことがあったから入学したため「毎日マジでつまらない」と嘆く友人の気持ちがまったくわかりませんでした。

しかし高校を卒業し、大学を卒業し、社会人になるにつれて「毎日マジでつまらない」と嘆く友人が珍しくなくなっていくことに気づきました。

そして最終的にはわたし自身も、社会人になった瞬間に「毎日マジでつまらない」状況に陥りました。念願の外資系の経営コンサルタントになったのに、驚くほど毎日がつまらなかったのです。

一体、なぜ「毎日マジでつまらない」状況にハマってしまったのでしょうか?

飢餓感の正体

かつて日本のみならず世界中を騒がせたオウム真理教に、多くの理科系出身者が入信したことがヒントになるでしょう。

高度経済成長を達成すれば「何が良きことか」わからなくなるように、いい大学に入学すれば「何が良きことか」わからなくなる人が一定数現れます。

最重要の価値を「社会」に置く限り、その価値の達成に近づけば近づくほど、「何がよきことか」わからなくなるという皮肉な状況にハマりやすくなってしまうのです。

日本では現在に至るまで、エンジニアとか技術系の現場で働いている人もプログラマーも、「第四の帰属」という概念に触れないまま大人になるため、「得体の知れぬ飢餓感」を抱える宿命にあるのです。

なぜ学校で第三の帰属や、第四の帰属について触れないのでしょうか?もちろんそれらに触れないほうが、学校での指導はやりやすくなるというメリットがあるのは確かでしょう。しかしデメリットもあることは自覚しておくべきです。

「得体の知れない飢餓感」を抱えていた理科系出身者の人達に対して、オウム真理教が「第四の帰属」について教えた結果、どうなったでしょうか?

あっ、これがそうだったんだ。わたしは今まで何も知らなかったんだ!」という風に洗脳されてしまったのです。

神の存在証明

もともと科学は、ギリシア、アラビア、イスラーム圏を経て、キリスト教圏に入りました。つまり科学というものは基本的には宗教的な真理追求活動と一体になっていたわけです。

そこを理解していない日本人は宗教≒非科学的なものと切り捨てます。「あのノーベル賞受賞者は神を信じているらしい。科学者でありながら非科学的なのは一体どういうことなのか?」などと疑問に思ってしまうのです。

しかし近代科学の祖といわれる人たちは、むしろ神の摂理に近づくために……神の存在を証明するために……証明できずとも実感するために……宇宙や世界の真理を追究しているわけです。

その一方で、日本人のみならず後発近代国家には神の存在証明というような動機で科学を追求する人はほとんどいません。なぜならば後発近代国家がテクノロジーに出会うのは、欧米列強が19世紀後半から急速に勢力を拡大してきたからです。

「欧米列強と同じテクノロジー水準に達しなければ、植民地にされてしまうかもしれない」という不安が、後発近代国家における科学を追求する動機の出発点だったのです。

ですから後発近代国家の日本においては、そもそも最初から「役に立つかどうか?」が重要なのであって、真理追求動機はどうでもよかったのです。

役に立ちますか?

日本の大学生は、何を勉強するにしても「役に立つのか?」ということを気にするそうです。裏を返せば、「役に立つこと」がハッキリしなければ、学習しないという態度を宣言しているのであって、それが当たり前だと疑いもしません。

日本の社会人も同様かもしれません。仕事で必要だからとか、会社の業績アップに必要だからといった明確な理由を抜きにして、「単純に面白いから勉強したり研究してます」なんて人は「珍獣扱い」されるどころか「お荷物扱い」されるリスクだってあるでしょう。

日本人にとっては、あくまでも役に立つことが最重要課題なのであって、真理追求動機は二の次だという話をしましたが、そのこと自体が日本人の弱点になるわけです。

なぜならば「戦争に勝つのに役立つ」とか、「戦後の経済復興に役立つ」とか、「国民生活の向上に役立つ」とか、そういったお役立ちの尺度がなくなると、その瞬間からテクノロジーを追求する動機の調達に苦労するようになるからです。

そもそも役に立つことがハッキリしないと科学と真剣に向き合えないわけですから、日本人に「革命的な発明」を期待するほうが野暮というものでしょう。

結論。「役に立つから勉強する」という動機はいつか枯渇します。皮肉なことに努力すればするほど動機の調達に苦労するようになります。

せっかく頑張って努力して社会的な意味を獲得した挙句に、「毎日マジでつまらない」とぼやきたくなければ……科学者だけでなくあなただって、第四の帰属と無縁ではいられないはずです。

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