アノミー特徴2)無目的

アノミーに陥ると、敵味方の区別ができなくなります。例えば堀越学園高校生殺人事件の被害者となった光男くんにとって、母親は敵でもあり味方でもあったのです。

敵であり味方という矛盾

通常、正常な人間は敵味方を区別します。そして味方と連帯して敵を攻撃します。そのため犯罪者であっても、非行少年であっても、敵が同時に味方でもあるということもなければ、敵味方の区別がつかないということもないのです。

ところがアノミーの産物としての行動の場合、「気に入らないやつは全員、ぶっ殺せばいいんだ」といった具合に、敵味方の区別がどうでもよくなってしまうのです。たとえば光男くんの場合、暴力の矛先は母親に向かいましたが、徹底的に母親に反抗しているのかといえば、そうでもないのです。

光男くんは直径約30cmの石を母親に投げつけて病院送りにして、一度だけお見舞いにいくのですが、その時に「(母親が)入院していると自分が不便だから早く退院しろ」と主張したのです。

自分で母親を病院送りにしておきながら自分の世話もしろとは、開いた口が塞がらないほどの「深刻すぎる甘え」ですが、アノミーに陥ると自分の行動が矛盾していることにすら気づけなくなるのです。

大学紛争の造反教官

1960年代後半の大学紛争の時も、光男くんと同じような人間が現れました。例えば、東京大学名誉教授の折原浩氏をはじめとするいわゆる「造反教官」は、学生たち(全共闘)と手を組んで激しく大学を攻撃しました。

あたかも自分たちは大学の一員ではないかのごとく大学を攻撃しながらも、いつまでも大学を辞めませんでした。また抗議のために授業を放棄する一方で、給料を辞退することもありませんでした。さらに大学紛争が終わると、当時のことはすべて忘れたかのように涼しい顔をして、教授の職にとどまったのです。

東大解体を叫んだ宇井純(当時、東大助手)も、当時東京大学から給料をもらって矛盾を感じていないようでしたし、滝田修氏(元・京都大学助手)にいたっては「朝霞自衛官殺人事件」の容疑で、地下に潜って一度も学校にでなかった5年間、給料だけは妻がそっくりそのまま受け取っていたそうです。

以上のような敵味方を区別することができなくなり、敵を攻撃しつつも「甘える」ような態度は、実は現代日本を蝕むアノミーの特徴なのです。

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