校内暴力からはじまった教育の話は、家庭内暴力・アノミー理論を経て、ついにはカルト宗教にまでたどり着きました。
ここで重要なポイントは、それぞれの問題は、一大アノミー症候群の一つの峰なのであって、それ自身で存在するものではないということです。
そしてわたしたちは日本人である以上、アノミーを拡大生産するシステムのなかにすでに絡め取られ、閉じ込められているということです。
どうすればわたしたちはアノミーを乗り越えることができるでしょうか?
天皇の人間宣言
わたしたち日本人が「アノミー」に襲われるようになったきっかけは、敗戦による天皇陛下の人間宣言です。イエス・キリストが「自分は人間である」と宣言すればキリスト教徒はどうなるでしょうか?
日本人にとっての現人神(あらひとがみ)である天皇が人間であることを宣言したのですから、日本人が急性アノミーになるのは当然です。急性アノミーとは、アメリカの政治学者ディグレイジアによって概念化されました。
ディグレイジアいわく、信頼しきっていた指導者に捨てられた(と信じた)集団のメンバーは、たちまち信仰体系を喪失して人格も解体してしまうというのです。
すでにデュルケームの発見したアノミー(以下、単純アノミー)について解説しましたが、急性アノミーは単純アノミーをはるかに上回る破壊力をもっています。
急性アノミーによって信仰体系を失った人たちは、『世界』における居場所を失い、精神的にまったく正常な人間であっても、制御不能なほどに狂暴になってしまうのです。
明治以来、努力して築き上げてきた天皇制共同体は一瞬にして崩壊しました。玉音放送を聞いていた日本人の中には、涙を流し、全身からは一気に力が抜け、圧倒的な絶望感に襲われた人が間違いなく存在していたのです。
三島由紀夫
1970年(昭和45年)11月25日に、憲法改正のため自衛隊の決起(クーデター)を呼びかけた後に三島由紀夫は割腹自殺しました。三島由紀夫の最後は、大多数の日本人をただただ驚かせただけでした。
とはいえ三島由紀夫だけが急性アノミー批判として、戦後天皇制そのものを根底から批判したことを見過ごしてはいけません。三島由紀夫は、2.26事件で刑死した決起将校の霊と特攻隊で戦死した霊を、小説『英霊の聲』に登場させ「などてすめろぎは人間となりたまひし」(なぜ天皇は人間になったのか!)と絶叫させたのです。
三島由紀夫が自死してから50年以上が経過していますが、誰も「天皇」にかわるイデオロギーを探すことができていません。高度経済成長期は「会社」がアノミーを吸収する役割を果たしました。
「戦争には負けたが経済には負けない」と日本人ががむしゃらに働きました。その結果、日本はジャパン・アズ・ナンバーワン(Japan as No.1)といわれるほどの地位を獲得しました。
しかし令和の日本が直面しているのは「コロナ敗戦」です。平和の30年間日本だけが経済成長できませんでした。30年間というスパンで経済成長できなかった先進国は「日本だけ」であり、コロナ禍で「見たくもない現実」が白日の下に晒されています。
ハッキリいってしまえば日本はすでに「衰退途上国」です。
故・安倍晋三は、「日本は美しい国」と豪語しました。しかし安倍晋三の死後、次々と明るみになったのは、政治権力が日本国民を搾取し苦しめる旧・統一教会を守り、その旧・統一教会を自らの政治権力を盤石にするために利用してきたという「極めて醜悪な実態」だったのです。
#自民党って統一教会だったんだな
2022年7月19日、「#自民党って統一教会だったんだな」というハッシュタグがTwitterでトレンド入りし、一晩で24万を超えるツイートを獲得しました。
経済がダメになり社会もダメになり、安倍政治に期待していた人々はどうするのでしょうか?安倍晋三はもういないのです。どうやってアノミーを回収するのでしょうか?
日本が戦争をしない限り、日本国民が一致団結するなんてことはないでしょう。だから江戸時代にあった藩ぐらいのもっと小さい単位で共同体自治を実現することでアノミーを吸収するしか方法はないと思います。
しかし残念ながらわたしが社会を変革させたり、教育を変えることはほとんど不可能です。わたしができることは「あなた」という人間の最小単位にフォーカスして、あなた自身の手であなたを変えるヒントを提供することだけです。
あなたには、非民主的な教育をしてきた日本社会を恨むのではなく、まずは「あなた」を変化させ、そして社会の最小単位である「1対1の対人関係」を変化させてほしいと思います。そうすることがあなただけでなく、あなたの身近な人のアノミーを回収する道につながると思うのです。
【完】
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