東京五輪後の日本経済~【自助努力を始めよう。】

元・日銀審議委員の白井さゆり先生(慶応義塾大学総合政策学部教授)は日本の将来を憂いています。著書、「東京五輪後の日本経済」にはこんな言葉があります

「この国の未来は本当に大丈夫なのか?」と本気で憂えてきました。正直にいえば、もはや日本経済は、この先、落ちるところまで落ちてしまうしかないのではないか・・・・・」と悲観的になることさえあります。

逆に、そうなったほうが、いよいよ日本人が本気で目覚めることになるかもしれないので、かえってそのほうがいいのかもしれないと、本気で考えたりもしました。

【引用:東京五輪後の日本経済

日本人が本気で目覚めるかもしれないので、日本経済は落ちるところまで落ちるしかないのではないか?というような考え方を【加速主義】といいます。加速主義とは、ひらたくいえばこういう考え方のことです。

「人間は落ちるところまで落ちないと、自分たちが抱えている問題に気づかない。だから対処療法により現状維持を続けることによって、抱えるリスクを増やすくらいなら、落ちるところまで落ちて目覚めたほうがいい。」

加速主義の考え方をはじめて知った人は、「加速主義って恐ろしい」と思うに違いありません。落ちるところまで落ちるよりも先にやるべきことはたくさんあるだろう?と思うでしょう。もちろん白井さゆり先生も、はじめから「落ちるところまで落ちたほうがいい」と思っていたわけではありません。

埋まることのない溝

白井さゆり先生は、「東京五輪後の日本経済」でいろいろなテーマについて解説しています。例えば、非伝統的金融政策とはなにか?非伝統的金融政策に効果はあったのか?マイナス金利政策には効果があったのは?日本がデフレから抜け出せないのはなぜか?日本は人手不足なのになぜ給料が上がらないのか?なぜ日本人はリスクをとらないのか?なぜ日本人は連帯しないのか?・・・etc

いろいろなテーマについて解説されてわかることは、日本がデフレに突入してから日本銀行(や日本政府)が何もしてこなかったわけではないということです。しかし日本経済は先進国の中で唯一ゼロ成長を続けているし、1997年をピークに賃金は減少傾向にあるし、デフレからも脱却できていません。なぜなのでしょうか?

「これが答えだ!!」という誰もが納得するアンサーが確定しているわけではないのですが、白井さゆり先生は「他人にお任せ」という態度を問題提起しています。日本人は政治にしても、経済にしても、自分の生活にかかわる大切な事柄であるにもかかわらず、「他人にお任せ」だというのです。

事実、日本銀行のアンケートによれば、日本銀行が「2%の物価上昇」を目標に抱えていることを「知っている」と答えた人はわずか30%であり、また日本銀行が金融緩和政策を行っていることを「知っている」と答えた人は、同じくわずか40%程度なのだそうです。

これは由々しき問題です。なぜならば・・・・・

あなたへの期待

もしかしたらあなたは気づいていないかもしれませんが、日本政府や日本銀行はあなたに期待しています。何を期待されているかというとそれは「政策を実行したら、その意図を理解して行動すること」です。

アベノミクスがいい例です。「お金の総量が増えたら、お金の価値が下がり(金利が下がり)、お金を借りやすくなり、社会にお金が回るようになる」ことが期待されているわけですが、企業も個人も「お金は天下の回りもの」を実践しようとしません。

皮肉なことに政府が経済対策を頑張れば頑張るほど、民間企業や個人は「やっぱり将来は明るくなさそうだ」と判断し、投資や消費をセーブしてひたすら「内部留保の確保」や「貯蓄」に走るのです。結果、社会にお金が循環しない状態からいつまでも抜け出せない状態が続いてしまうのです。

この状態を打破することは可能でしょうか?

日本人のほとんど全員が「このままだと日本経済は本当にマズイことになる。貯金するのではなく、投資や消費にお金を回してなんとしてでも日本経済を成長させよう!!」と一致団結できるのであれば希望はあるでしょう。しかし残念ながらそのような状況は夢物語だと思います。

コロナ禍で明らかになったことは、日本人は「社会を回すこと」よりも「自分や身内の安全」を重視する国民だということです。

テレビやネットーニュースではコロナ禍を戦争に例える論者がチラホラいました。しかしもし本当にコロナとの戦いが戦争であるならば、日本人は経済を回さなければいけません。日本人は戦争中でも外に出て働いていました。なぜならば経済を回さなければ戦争に負けてしまうからです。

だからこその「自助努力」

このような話を聞けば、「日本人全体」の救済は絶望的だと思うでしょう。社会人のほぼ全員が日本政府が何をやっているのか理解し、持論を熱く語る・・・・という時代がやってくると本気で信じることのできる人は少数派ではないでしょうか?

だからこそ「自助努力」をはじめよう。というわけです。

日本という国が沈んでも、あなたが沈まなければいけないわけではありません。不況でもコロナ禍でも、あなたがお金に困る生活をしなければいけないわけではありません。自分の頭で考えて、自分が正しいと思うことをやり続けることが大切なのです。