コーチの素養(3)

セルフコーチングは、コーチングを自分で自分にやることであることはもうすでに説明しました。コーチとは「成功している人」(いつも幸せそうな人)であり、「いい人そうな人」(いつもニコニコしている人)でした。

しかし「成功している+いい人そうな」人であってもまだコーチとしては不十分なのです。一体、何が足りないのでしょうか?

夢はあったほうがいい?

社会的に成功していて、なおかついい人そうな人が、子育てになると苦戦するということがあります。日本でも「なんであの人が、あんな凶悪な事件を・・・」と驚くような事件がいくつも発生しています。

例えば優秀であるはずの官僚が息子を殺害するなんて事件もあります。「東京・湯島金属バット殺人事件」、「元農水次官の長男殺害」などと検索すれば、自分が社会的に成功することと、身近な他人の成功をサポートすることには大きな隔たりがあることがわかるでしょう。

親が息子を殺すという事例ほど極端でなくても、親が子どもの可能性を潰すもしくは否定するということは山ほどあります。先日、『さようなら全てのエヴァンゲリオン ~庵野秀明の1214日~』という作品を観ていたところ、驚くシーンがありました。

庵野秀明に質問する機会を得た高校生ぐらいの子どもの質問が「夢ってあったほうがいいですか?」だったのです。わたしは「なぜ?そんな質問をするの?」と疑問に思っていたのですが、質問の真意はすぐに明らかになりました。

実はその子どもは「夢なんてもっているほうがオカシイ」と親からアドバイスされており、そのことに割り切れない思いを抱えていたのです。

よかれと思って

庵野秀明氏といえば、試験5科目の中に英語があることを知り、大学受験に関する一切の興味をなくした人間です。「とにかく大学に行ってくれ」と懇願する両親や、進学率を下げたくない高校からの強い要望により、しぶしぶ重い腰を上げる人間です。

重い腰を上げて無作為に取り寄せた資料の中に学科試験なし、実技のみという、私立大阪芸術大学を発見し、某学科の試験内容が絵コンテということを知るに至り、安心してなおも遊び続ける人間です。

大学に入学するもお金を支払わずにいて気づいた時には放校処分になっており、それをきっかけに就職活動をして上京するも、お金がなくなったとき、好きなときだけ仕事をするという生活を続けた人間です。

日本を代表するアニメーターとして成功した庵野秀明氏を知っているわたしたちには、庵野秀明氏の過去のすべてが武勇伝に聞こえます。しかしその過程を見守った親や先生は、生きた心地がしなかったでしょう。親や先生だって「良かれと思って」アドバイスしていたのでしょうから。

そう。たとえアドバイスする側が成功していてなおかついい人であっても、その人たちのアドバイスはコーチングとは似ても似つかないものなのです。

コーチングの知識

進路相談や人生相談と、コーチングの違いはなんでしょうか?それを理解することができたなら、あなたはコーチングを理解し、なおかつセルフコーチングもちゃんと実践できるようになるはずです。

ちなみに「夢ってあったほうがいいですか?」と質問された庵野秀明氏の答えは「ないよりあったほうがいい」でした。私も同感です。

それでは次回からはコーチング理論のなかでも特に重要な『ゴール』について解説していきたいと思います。楽しく学んでいきましょう!!!

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