ミナリ ~ 映画版「The Good News Bible」

キリスト教徒である条件は神を信じることですが、どうすれば「神を信じる」ことになるのでしょうか?「神を信じる」ことの意味がわかる映画を紹介します。

予告動画)ミナリ

これ以降の内容は、ネタバレも含みますのでご注意ください。

韓国と日本の違い

韓国人と日本人は人種的にはとても近いです。言葉の文法構造も、米を炊き主食とすることも(コメの炊き方も)、床にじかに座ることなど同じ風習も多いのです。しかし日本と韓国では「親族構造」と「宗教」がまるで異なるのです。

特にミナリを理解する上では「宗教」について理解することがとても重要です。日本社会には、宗教が制度として根づいていません。キリスト教徒であっても、他の日本人と同様に行動することがほとんどです。

その一方で韓国は高度な宗教国家であり、儒教が社会のすみずみに網を張り巡らせている状況ながら、実はキリスト教徒も多いのです。米調査機関、ピュー・リサーチ・センターによれば、2010年における韓国のキリスト教徒の割合は29パーセントに達し、仏教を凌駕しているのだそうです。

儒教的な韓国人と、キリスト教徒の韓国人は仲良くできるでしょうか?

答えはノーです。キリスト教徒の思想と行動は、他の儒教的韓国人とかなり異なるのです。特に儒教的韓国人にとって、キリスト教徒が祖先の祭りを拒否することは許せないことのようです。そのため韓国内でキリスト教徒が弾圧された歴史もあるそうです。

プロテスタントが(反カトリックとしての)宗教的な自由を求めてアメリカに移住したように、韓国人キリスト教徒も宗教的な自由とアメリカンドリームを求めてアメリカに移住したのでした。この点が映画「ミナリ」を観る前に理解しておきたいポイントの1つ目です。

神を信じるとは?

映画を観る前に理解しておきたいポイントの2つ目は、「キリスト教を信じるとはどういうことなのか?」というキリスト教理解の根本的な部分についてです。

キリスト教は、イスラム教やユダヤ教と共に「啓典(けいてん)宗教」です。啓典宗教とは平たく言えば、神がいて聖書があるという宗教のことです。(キリスト教:新約聖書、イスラム教:コーラン、ユダヤ教:トーラー)

しかしキリスト教と、イスラム教・ユダヤ教とは大きな違いがあります。イスラム教やユダヤ教には規律があるのに、キリスト教には規律がないのです。

イスラム教やユダヤ教には「ああしろこうしろ」という行動についての記述がコーランやトーラーにはたくさんあるのですが、その一方で聖書においては「神を信じること」のみが重要なこととされているのです。

とはいえ「神を信じる」とはどういうことなのでしょうか?どうすれば「神を信じる」ことになるのでしょうか?

答え:「奇跡を信じること

聖書に書かれているキリストの起こした奇跡をそっくりそのまま信じることが、キリスト教徒の必要十分条件なのです。病気を治すとか、悪霊を追い出すとか、エトセトラ……。繰り返しになりますが、すべての奇跡をそのまま信じることがキリスト教徒の必要十分条件なのです。

Good News

新約聖書(キリスト教における聖書)の中心人物はパウロです。パウロはいいます。「すべての人は罪人である」と。キリスト教はここからスタートします。だから人間はその行為によって救われることは絶対にないのです。イエス・キリストの信仰によってのみ救われるのです。

アメリカでは新約聖書をわかりやすいものにするために、【現代口語訳聖書】なるものが出版されています。そのタイトルはズバリ「The Good News Bible」です。パウロの教えはこのタイトルに集約されているといっても過言ではありません。

映画「ミナリ」を鑑賞するなら「The Good News Bible」を頭の片隅に置いておきましょう。このアドバイスを忘れなければ、映画ミナリそのものが映画版「The Good News Bible」であることに気づけるはずです。

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