前回はエレベーターピッチについて解説しました。あなた自身が納得するエレベーターピッチをつくることができたでしょうか?
自分自身を納得させるエレベーターピッチを作るためには、「ポジショニング戦略」について検討を加えることが有効です。商売人であれば誰もが「ポジショニング戦略」について考える必要があります。とはいえ、そもそもポジショニング戦略とはなんでしょうか?
「ポジショニング戦略」については、膨大な先人の知恵がありますが、今回はそれらの知識をすべて解説するようなことはしません。本記事では「ポジショニング戦略」を策定するための、必要最低限の知識だけをお伝えするので、ぜひ最後までお付き合いください!
鍵になる要素
自分自身がワクワクするエレベーターピッチを作る上で、私がもっとも重要視しているのが「2.問題」の部分です。なぜでしょうか?順を追って説明したいと思います。
あなたは訪問者に「WHYからはじめる自己紹介」を読んでもらう必要があるわけですが、当たり前のことを書くだけでは最後まで読んでもらえないでしょう。
「1.願望」も当たり前、「2.問題」も当たり前、「3.証拠」も当たり前、「4.主張」も当たり前で、「5.行動」も当たり前……の文章なんて、読んでもらえると期待するほうが間違っています。
例えば……
あなたはダイエットに何度も挫折していますね?痩せたほうがいいと思っていますよね?当たり前の話ですが、消費カロリーよりも摂取カロリーのほうが多いから太るんです!痩せるためには、「消費カロリー>摂取カロリー」の状態を維持する必要があることは、小学生でも知っています。痩せるためには、暴飲暴食をしないことに加えて、運動不足を解消する必要があります。次回の食事から見直してみませんか?
以上のような文章では、訪問者に興味をもってもらうことは出来ません。興味をもってもらうためには、「当たり前ではない」文章を書く必要があります。
そこで鍵になるのが「2.問題」の部分です。なぜならば「1.願望」の部分は、当たり前である必要があるからです。むしろ「1.願望」が、当たり前でない場合には、逆に興味をもってもらえない可能性のほうが高いでしょう。
例えば「資産がたった100億円しかない状況で、自分は貧乏だと夜も眠れない日々を過ごしていますか?」などと問いかけられたところで、「自分には関係がない」と考える人のほうが多いはずです。「1.願望」は、多くの人が実現したいものである必要があるのです。
「1.願望」は、多くの人にとって共感されやすい「当たり前」の要素である必要がある一方で、「2.問題」には当たり前ではない要素が必要です。具体的には、「2.問題」では「AではなくB」という主張をする必要があるわけですが、「A」は当たり前の要素、「B」は当たり前ではない要素である必要があります。
このBの要素が当たり前ではない場合、「3.証拠」は「説明されるまでそれが重要であることに気づかなかった」という内容になります。また「4.主張」は、Bの要素の解決策になっているため、「3.証拠」と同様に、「説明されるまで、それが重要であることに気づかなかった」という内容になります。
つまりエレベーターピッチをワクワクさせるためには、「2.問題」をありきたりの内容にしてはいけないのです。「2.問題」をありきたりの内容にしないためには、どのようなことを考えればよいのでしょうか?
もちろん私の答えは、「ポジショニング戦略を検討する」です。具体的には……
どのパターンを選ぶ?
ポジショニング戦略の目的は、「競合他社と比較されずに、自社が選ばれる状態を作る」です。競争他社と比較されると負ける可能性が高まるので、競合他社と比較されない立ち位置を探すのが、ポジショニング戦略の目的です。
冒頭で言及したとおり、ポジショニング戦略を策定する方法については、さまざまな先人の知恵があります。しかし本記事はマーケティングの教科書ではないので、手っ取り早くポジショニング戦略について考えるノウハウだけをお伝えしたいと思います。
ポジショニング戦略には、典型的なパターンが3つあります。あなたがどのパターンに当てはまるか検討することで、自然と競合他社と比較されない立ち位置が見えてくるはずです。
1.正面衝突
「1.正面衝突」は、ライバルと真正面から対決するポジショニング戦略です。たとえばバーガーキングは、マクドナルドと真正面から対決しています。
誤解を恐れずにバーガーキングの主張を一言でまとめると、「マクドナルドは全然わかっていない。バーガーキングはマクドナルドよりも、はるかに良い!」です。バーガーキングは、業界の盟主を直接批判することを通じて、消費者にバーガーキングの優れている点をアピールしているのです。
もしあなたが「1.正面衝突」のポジショニング戦略を採用する場合には、あなたが発信するテーマにおいて、すでに成功している先輩を探してください。そして先輩のダメなポイントを列挙してください。そして先輩のダメなポイントのうち、あなたのほうが優れたポイントがないか探してみてください。
エレベーターピッチの「2.問題」では「AではなくB」を語るわけですが、「先輩のダメなポイント」がAに該当し、「私の優れたポイント」がBに該当します。
2.一点突破
「1.正面衝突」のポジショニング戦略は、競合とガチンコで対決するわけですから、それなりの覚悟が必要です。あなたから先輩を批判するわけですから、あなたも先輩から批判される覚悟が必要です。少なくとも「ガチンコ勝負上等!」という気概が必要です。
もしあなたがガチンコ勝負に自信がない場合、先輩が顧客に提供している機能のうち、勝てるポイントを一つに絞ってアピールするという手があります。
例えば小林製薬は、体調が悪くなったらとりあえず飲むべき「高品質の風邪薬」を提供しているわけではありません。「熱さまシート」「のどぬーるスプレー」などの印象的な商品を世に送り出しています。
風邪をひいてから完治するまでに、さまざまな対策が考えられます。さまざまある対策のうち、どれか一つだけに特化した解決策を提示することで、小林製薬は、競合他社との差別化に成功しているのです。
また本教材の場合は、「有料のnoteを売る」ために、集客でもなくセールスでもなく、マーケティングの解決策を提案しているわけですが、「マーケティングのすべてがここにある」というようなアピールをしているわけではありません。
私の場合は、マーケティングのなかでも「自己紹介」に着目しました。つまりエレベーターピッチの要素に当てはめると、以下のような状態です。
「1.願望:有料のnoteを売りたい」+「2.問題:???」+「3.証拠:???」=「4.主張:自己紹介にこだわるべし!」
訪問者に「自己紹介にこだわるべし!」というような主張をスムーズに納得してもらうためには、どのような価値観つまり「AではなくB」を信じてらもう必要があるか?と考えるのです。
3.新規創造
新規創造のポジショニングは、既存の市場・企業・製品と比較すると、あなたの本当の価値が注目されなくなってしまう場合のみに有用です。もしあなたが「1.正面衝突」や「2.一点突破」の戦略を採用できない場合には、「3.新規創造」のポジショニング戦略の採用を視野に入れましょう。
さて……正面衝突にしても一点突破にせよ、比較するものがハッキリしています。なぜ比較するものがハッキリしているのかといえば、消費者の頭の中にはすでに業界・企業・製品に対する明確なイメージが存在しているからです。
しかし比較するものがハッキリしていないケースも存在します。たとえば昨今ではデリバリー業界や退職代行業など、新しい業界も生まれています。
また過去には製品市場において、新しいカテゴリーが誕生した事例があります。たとえば「イヤホン付きの個人専用ラジカセ」は『ウォークマン』という新しい製品カテゴリーに分類されました。また「電話機能付きの小型パソコン」は『スマートフォン』という新しい製品カテゴリーに分類されました。
あなた自身が新しい業界や新しい商品・サービスを生み出さずとも、新しい業界や新しい商品・サービスの恩恵を受けることは可能です。例えば「生成AIの初心者講座」を最初期に提供すれば、それだけで注目を集めることが出来たかもしれません。
もしあなたが議論の余地がないほど目新しく、既存の業界・企業・商品の枠内では説明することが困難な「何か」を販売する場合には、それだけで差別化要因をつくれるはずです。
「3.新規創造」のポジショニング戦略を採用する場合には、エレベーターピッチの「2.問題」における「A」は「既存の業界・企業・商品」、「B」は「議論の余地がないほど目新しい何か」になるでしょう。
さて……あなたのエレベーターピッチを魅力的にするために、ポジショニング戦略を手っ取り早く立案する考え方について説明しました。とはいえ本記事で説明したポジショニング戦略をそのままnote運営に取り入れることができない人もいると思うので、最後にもう少しだけ補足しておきます。
差別化できない場合
理想的なエレベーターピッチがあるとするならば、多くの人が望んでいるにもかかわらず実現できない願望に対して、新しい希望の光を当てるものであるはずです。
例えば……ダイエットに成功できないのは、これまで信じられてきた常識が間違っていたのであり、新しい常識に従って行動すればいいのだ……というような物語をあなたが語ることができれば、有料のnoteでも売れる可能性が高いと思います。
なぜならば「新しい常識」に従って考えると「新しい目標」が設定され、「新しい目標」を達成するための「新しい手法」が誕生し、「新しい手法」が誕生すればそれを教える「新しい援助」が誕生するはずだからです。
もちろん「新しい常識」「新しい目標」「新しい手法」「新しい援助」のすべてをあなたがアピールできるのが理想です。そのために鍵になるのが「新しい常識」であり、エレベーターピッチに当てはめると「2.問題」の部分になることはすでに説明しました。
私の場合……
「有料のnoteが売れない理由は、集客・セールスが問題ではなく、マーケティング戦略の欠如が問題だ」という新しい常識をアピールしました。
新しい常識に従って考えると「WHYからはじめる自己紹介」という新しい目標が設定され、新しい目標を達成するための新しい手法を開発することになり、その新しい手法について解説できるのは私しかいない……というのが、大まかなマーケティングの流れです。
以上、「新しい常識」をアピールすることが重要だからこそ、ポジショニング戦略について説明してきたわけですが、もし「新しい常識」をアピールできなければ、「既存の常識」「新しい目標」「新しい手法」「新しい援助」をアピールできないか検討してみましょう。
また新しい目標をアピールできなければ、「既存の常識」「既存の目標」を達成するための「新しい手法」「新しい援助」の持ち主であることをアピールできないか検討してみることが大切です。
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