1983年に世間を大きく騒がせた戸塚ヨットスクールの戸塚宏が、近年にわかにメディアに再登場しています。2019年12月13日にはアベマTVに出演しています。(現在は非公開)
テレビを観た視聴者からは「放送事故だろ」というような声もきかれる一方で、なぜ現在でも戸塚宏氏は一部の人たちから支持されているのでしょうか?今日はそのことを考えるヒントになる映画を紹介します。
予告動画)スパルタの海
これ以降の内容は、ネタバレも含みますのでご注意ください。
戸塚ヨットスクールとは?
戸塚宏氏は、不登校・引きこもり・非行など、青少年の問題行動を引き起こしている『情緒障害』を、ヨットを使ったスパルタ訓練で改善するという独自の教育理論を展開しました。
しかし1980年代になると生徒の死傷事故や行方不明事件が発生し、メディアから総バッシングを受けることになり、懲役6年の実刑判決により2006年まで刑務所に収監されていました。
それでも信念を曲げずにヨットスクールの運営を精力的に行っている戸塚宏氏を非難するのは簡単ですが、戸塚宏氏にも言い分があるわけです。
戸塚宏氏の言い分
戸塚宏氏が願っているのはズバリ教育改革です。戸塚宏氏は、84年の中曽根内閣の臨時教育審議会の設置以降、教育改革についてはまともに議論もされていないことを批判しています。
つまりまともな教育ができていないから問題行動を起こす青少年が生まれるのだから、まずは公的な教育を変えるのが筋なのであって、教育改革が実現されれば自分のような教育者は必要なくなるのだから是非ともそうしてくれとの認識に立っているわけです。
現実に「このままだと子どもに殺されるかもしれない」と悩む親が存在しています。
問題行動を起こす子どもたちを医者も治療できるとは限らない以上、他にどのような代替手段があるのだ?と戸塚宏氏は世間に問うているわけです。
問題行動の原因は?
人間にとって青春期とは何ものにもかけがえのない貴重な時期です。その貴重な青春期に、受験勉強に駆り立てられ、学校にいけばイジメがあり、家に帰れば親子の断絶や家庭内暴力に悩まされる……そんな子どもたちを救うには、根本的な原因に対処するしかありません。
では根本的な原因とは一体なんなのでしょうか?受験戦争によってもたらされるものや、イジメの原因となっているものは一体なんなのでしょうか?
その答えは「アノミー」です。三島由紀夫も東大全共闘も連合赤軍のメンバーもオウム真理教信者も、全員がアノミーにかかっていました。「アノミー」については、すでに解説している記事を参照していただくとして、今回は戸塚ヨットスクールという文脈でもう少しだけ話を深堀していきたいと思います。
なぜ成功し、なぜ失敗したのか?
戸塚ヨットスクールの卒業生のなかには、「戸塚先生ありがとう」と感謝する子どもや親もいます。しかし大失敗した事例もあることは確かです。
暴力的な教育効果が、成功したり失敗するのは、なぜでしょうか?
その答えはシンプルです。問題行動の原因が『アノミー』の場合は「効果がある」が、問題行動の原因が『精神病』の場合は「効果がない」のです。
ヨットの猛特訓は教師に絶対服従です。ぶん殴ってでも教え込まなければ、生徒は海で命を落とす危険性を高めることになります。だから死に物狂いの猛特訓をやっているうちに教師との間に連帯が生まれ、その連帯がアノミーを解消すれば、子どもは問題行動を起こさなくなるのです。
その一方で「神経病や精神病」の子どもに対して、死に物狂いの猛特訓をやれば逆効果になります。「神経病や精神病」を治せるのは医者だけです。
■ 社会を学べる映画集
