『性格』とは信念のことであり、信念とは情報です。信念は情報であるからこそ、ある信念を別の信念に書き換えることが出来るのです。
しかし現実問題として、カメレオンのように『性格』をコロコロ変えることは、ほとんど不可能なのです。なぜでしょうか?
今回の内容は『ライフスタイルのモデル』の④を理解する上で役立つはずです。
- 性格を決めるのは自分。
- 但し、性格を丸ごと変えられるわけではない。
- 自分の努力で変えられる性格とは信念に関わるものであり、だからこそ性格は一瞬で変わる可能性を秘めている。
- しかしわたしたちは過去の成功体験に囚われ、「性格を変えない」という決断を下し続けているので、性格を変えることができない。
- 「決断」や「自己分析」で性格を変えようとするが、これは典型的な間違いである。考えることをやめて、起こっていることをありのままに見つめることが、性格を変える第一歩。
- 「事なかれ主義」に落ち着つくことなく、性格を変え続けるためには、不確実性を受け入れる勇気が必要不可欠。
- 「現状維持の未来」について考えれば、勇気が湧いてくる!試行錯誤を繰り返し、成功体験を積み重ねれば、性格は変わる。
成功体験
在野の心理学者ジュディス・リッチ・ハリスは、子どもの性格の半分は遺伝(つまり【性格】)によって、残りの半分は家庭とは無関係な子ども同士の社会的な関係(つまり『性格』)によってつくられることを発見しました。そう。『性格』は社会的な関係によってつくられるのです。
『性格』は社会的な関係によってつくられます。ということは……社会的な関係が変われば『性格』は変わりやすいし、社会的な関係が変わらなければ『性格』は変わりにくいのです。ここで気になることは、社会的な人間関係は変わりやすいのか?ということでしょうが……社会的な関係は、安定状態に向かう傾向があります。
たとえば「クラスカースト」という言葉があるように、学校のクラスのなかで上の階層と下の階層が形成されると、階層間の交流は難しくなります。そしてクラスカーストにおける「身分」が、学校を卒業してから何十年も維持されることだって珍しくありません。
そしてここからが重要なポイントなのですが、安定した「身分」というものは、それがどのような身分であれ、ある意味では「成功体験」なのです。ある意味では……という但し書きをした理由は、予測可能性にあります。自分がどのような態度をとったら、周囲がどのような反応をするかある程度予測できることは、精神衛生上、とても良いことなのです。
そして一度安定した『性格』は「成功体験」であるからこそ、なかなか否定できないのです。なぜならば「成功体験」は、いい意味でも悪い意味でも、さまざまな感情と結びついているからです。
たとえば学校の先生から作文の内容をほめられると、「こういう作文を書いてほめられたので、嬉しい」ということを学習します。また宿題を忘れて学校の先生からしかられると、「宿題を忘れて先生から怒られて、悲しい」ということを学習します。つまり『性格』を形成するあらゆる学習は、喜怒哀楽などの感情と密接に関わっているのです。
裏を返せば……いろいろなことに挑戦し、成功したり失敗したりするなかで、さまざまな感情を経験し、さまざまな感情とセットで信念というものは形成されていくのです。そして一度形成された『性格』は、そう簡単には変えることができないのです。なぜならば……
修正機能
一度形成された性格は、なかなか変わりません。なぜならば信念と矛盾したことを受け入れると、それが新しい信念になって目の前の世界が変わってしまい、予測可能性が失われてしまうからです。そしてここからが重要なポイントなのですが……
思い込み
信念と矛盾した情報は、意識にのぼりません。たとえば「あの人は信頼できる」という信念をもっている場合、その信頼できる人から怪しい投資話をもちかけられても、それが怪しい投資話であることに気づかなかったりします。
保守的で臆病
加えて、信念と矛盾した情報を外部から強引に注入された場合であっても、信念に合致しないあるいは違反する行動はすべて排除されます。困っている人に対して、周囲の人がアドバイスをしても「うまくいくわけがない!」といって拒否されるのは良くある話ではないでしょうか。
ホメオスタシス
さらに信念に合致しないあるいは違反する行動をすれば、すぐに元通りにするホメオスタシス(恒常性維持機能)という機能が人間には備わっています。ちなみにホメオスタシスは健康な人間であれば、誰でももっています。たとえば暑いところで汗が出るのは、体温を元に戻そうとするホメオスタシスが働いている証拠です。
そしてホメオスタシスは『信念』にも影響を与えているのです。たとえばタバコ好きな人が一時的に禁煙しても再び吸い出したり、太っている人がダイエットしても再び太ってしまったりするのは、ホメオスタシスが『信念』に影響を与えているなによりの証拠なのです。
性格への長期投資
人間は思い込みから自由になれず、保守的で臆病で、なおかつホメオスタシスの働きによって、『性格』の安定状態は維持されています。そして安定状態が長く続けば続くほど、安定状態から抜け出すことは難しくなってしまうのです。
たとえば若い人にとっては、スマートフォンのアプリやパソコンのソフトで家計を管理することは、そろばんとノートで家計を管理することよりも簡単だと感じられるでしょう。しかし「もう歳だから!」といって、そろばんとノートで数字を間違えずに計算できる能力があるのにも関わらず、スマートフォンやパソコンを触ろうともしない人は実在します。
なぜ年をとればとるほど、『性格』は変わりにくくなるのでしょうか?おそらくそれまでの性格に時間をかければかけるほど、引き返すのが難しくなるのだと思います。たとえば競馬にいってお金をすった場合、負けたところでやめればいいのに、負けた金額が多ければ多いほど、「もう少し頑張れば、きっと当たるに違いない!」などと考えてしまう心理と似たところがあります。
以上、わたしたちは人生の課題に直面するたびに、『信念』を参照して行動を決めているわけですが、同じような行動パターンを繰り返すうちに、考えることすら必要としなくなります。たとえば自転車や自動車の運転を習ったばかりの頃は、すべての動作が意識的だったのに、慣れれば慣れるほど『無意識』的な行動になります。
忘れてはいけないことは、『無意識』的な行動は「成功体験」であり、感情と密接に関わっているからこそ定着したということです。そして『無意識』的な行動は、時と場合によっては、便利ですらあります。しかし『無意識』的な行動が、健全な社会生活を妨げる障害になることだってあるわけです。果たして、どうすれば……わたしたちは『性格』を変えることができるのでしょうか?
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