『対人関係』についての理解を深めてもらうために、『対人』と『関係』のそれぞれについて詳しく説明しました。『対人関係』について詳しく説明した理由は、『自己』や『他者』への理解を深めるのに役立つと考えたからです。
今回の内容は『対人関係のモデル』の④を理解する上で役立つはずです。
- 子どもの頃から「特別な存在」を目指すことに熱心な日本人ほど、対人関係が苦手な傾向がある。
- まずは対人関係と人間関係は異なるという認識をもつのがよい。
- そして対人関係の悩みは、一方通行の因果関係ではなく双方向性をもっていることを自覚すべし。
- すると、他者との関係性が構築できないと自分の価値も生まれないことが理解できるはず。自分の価値を高めるためには共同体感覚つまり『他者信頼』『他者貢献』『自己受容』が重要。具体的には・・・
- ⅰ:他者を信頼して試行錯誤を繰り返し、他者が信頼できるか判断する能力を磨くべし!
- ⅱ:自己犠牲により他者を喜ばせるのではなく、当事者の貢献感を重視すべし!
- ⅲ:偽物の自分も本当の自分も存在しない。ありのままの自分を受け入れるべし!
- そして『他者信頼』『他者貢献』『自己受容』は、スパイラル構造のなかにあるため、それぞれ一歩ずつ向上させる必要がある。
点と円
小学校の算数で、『点』や『円』について習ったと思います。『点』と『円』は、『自己』と『他者』の関係性を説明するのに便利です。
- 円 ⇒ 点から一定の距離の点の集合
- 点 ⇒ 円の中心
『円』を定義するには『点』が必要であり、『点』を定義するには『円』が必要です。つまり『点』⇔『円』という関係性があるわけです。
同様に『自己』を定義するには『他者』が必要であり、『他者』を定義するには『自己』が必要です。つまり『自己』⇔『他者』という関係性があるわけです。
たとえば自己紹介について考えてみるとわかりやすいと思います。わたしの趣味は●●です。わたしの子どもは●●です。わたしの親は●●です。わたしの好きな食べ物は●●です。わたしの勤め先は●●です……といった具合です。もちろん●●に入るのは、自分以外の何かです。
同時に『他者』を説明するためには、『自己』との関係性を伝える必要があります。あの人はわたしにとっての配偶者です。あの人はわたしの上司です。あの食べ物はわたしの好物です……といった具合です。
『自己』の価値
さて……『自己』と『他者』が、『関係』をもっていることを受け入れれば、以下のことも理解できるはずです。
- 自分という人間は、自分以外のもの(他者)が定義する
また『対人』について理解したあなたは、以下のことも理解できるはずです。
- 他者との関係が構築できないと、自分の価値は生まれない
さて……ここであらためて『勇気スパイラル』を眺めてみてください。これまでの議論がよくわかると思います。

『勇気スパイラル』というネーミングに含まれている「スパイラル」というのも、『自己』と『他者』との『関係』を前提にしていることにお気づきでしょうか?
やはり『自己受容』を決めるのは『他者』(他者信頼と他者貢献)なのです。最後にアドラーのとても興味深い発言を紹介します。
天才ですら最高の有用性にすぎないと定義できる。われわれが人を天才と呼べるのは、人の生が他者によって自分たちに意味を持っていると認識される時だけである。
【引用:人生の意味の心理学】
天才とは何か?ということについて、いろいろな人がいろいろな定義を提案しています。しかし対人関係の延長線上に天才を位置づけているのは、おそらくアドラー心理学だけではないでしょうか?
■ 次はコチラ
■ 対人関係の記事一覧に戻る

