石つぶて ~ いないと困るがいるとのさばる

わたしが外資系企業に勤める経営コンサルタントだった頃、新しいプロジェクトがはじまると土日も関係なくがむしゃらに働く日々が3カ月程度続き、そのプロジェクトが終わってちょっと休むとまた別のプロジェクトがはじまり……という生活を繰り返していました。

そんなある日IT系のプロジェクトに参画することになったのですが、そのプロジェクトは継続案件で、もう3年以上も同じ企業にお世話になっているという同僚が何人もいたのです。

わたしがかつて経験していた仕事のやり方が「短距離走」だとするなら、新しいプロジェクトで出会った同僚たちは「長距離走」でした。わたしは長期間の仕事をとるなんてどういうカラクリなんだろうか?と不思議に思っていたのですが、しばらくするとそのカラクリがわかってきたのです。

長期間の仕事を獲得する秘訣はズバリ……「いないと困る存在になる」ということのようでした。こういう言い方をすると語弊があるかもしれませんが、経営コンサルタントは「高級派遣業」のようなもので、仕事が終わったらお払い箱になるのが誇りでもあるはずなのですが、そうでない人もいることに驚きました。

そんなある日、同期の1人が「いないと困る存在になる」ことをこんな風に表現しました。ズバリ「わたしたちは寄生虫である」と。つまり大企業に寄生することだけを日夜考えて実行した人だけが組織で偉くなり、高い給料をもらうようになるというのです。

なぜこのような話をしたのかというと……

日本に寄生する人たち

日本に寄生する人たちがたくさんいます。原発でもオリンピックでもコロナ禍における給付金事業でも……いたるところに国に寄生することでしか生きられない人たちがいるのです。

国に寄生する人たちを「官僚的な人たち」ということにしますが、官僚的な人たちを今すぐ排除するわけにもいきません。権力を握っているし、複雑な社会のなかでは官僚的な人たちがいないのも困るからです。

日本は「資本主義&民主主義」の国というよりは「社会主義&官僚主義」の国です。ですから上が腐ると下が腐ってきます。官僚が違法な行為に手を染めると下の民間業者は「俺らも大丈夫だろう」と無意識に考えるようになるのです。

2022年2月10日にはテレビ朝日の亀山慶二社長(63)が会社の経費を私的に流用して辞任したことが騒動になりました。とはいえ、経費を私的に流用するなんてことは、政治の世界では当たり前のことなのです。

石つぶて

これ以降の内容は、ネタバレも含みますのでご注意ください。

罪の意識

連続ドラマ「石つぶて」は、2001年に発覚した外務省機密費詐取事件を取り扱ったノンフィクションドラマです。印象的だったのは、犯罪者たちに国民のお金を私的に流用するということに対する罪の意識が全くないということです。

犯罪者たちが恐れていることは「国民に顔向けできない」ということではなく、「バレたら自分の命が危険に晒される」ということだったのです。

なぜ自分の命が危険に晒されるのか?といえば、自分たちが私的に流用したお金は「裏金」の一部であり、裏金というものは存在自体を秘密にしておかないといけないからです。

つまり犯罪者たちは「口封じのために、自分は消されるのではないか?」と恐れたのです。

菅総理が官房長だった頃、1日平均で約300万円ものお金が「官邸機密費」として使い込まれていました。官邸機密費は未来永劫、国民に使い道を知らせなくていいお金です。記者を買収するために使ってもいいし、政敵の弱みを探るために探偵に支払ってもOKです。

いないと困るが、いるとのさばる官僚に、いかに対処するべきでしょうか?

答えはアメリカ式、中国式、ソ連式の3つの方向性があるのですが、その点についてはまたあらためて別の機会でお伝えしたいと思います。

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