日本人奴隷化システム

日本人の多くは奴隷のような生活をしています。10代、20代は毎日の食生活にも頭を悩ませ、「負け組になりたくない」と不安を抱えながら受験勉強・就職試験にいそしんでいます。

30代、40代の人たちは住宅ローンや子どもの教育費に頭を悩ませながら週40時間以上働いています。サービス残業に体力は削られ、大地震により交通機関がマヒしても「出社せよ!」という会社の命令があれば、その命令がいかに理不尽なものであっても必ず守るのです。

50代以降になれば将来の年金支給額が気になってきます。引退へのカウントダウンが始まる頃には、老後の楽しみを考える余裕はほとんどなく、「老後は大丈夫か?」と不安な毎日を過ごすことになるのです。なかには引退したにも関わらず、アルバイト生活をはじめる人もいます。

なぜわたしたちは奴隷のように搾取されていることを自覚できないのでしょうか?

日本人が奴隷のように搾取されながらも、その現実に気づけないカラクリをわかりやすく解説します。

現代の奴隷システム

奴隷から搾取するための鍵は「階層化」にあります。階層化とは、頂点と最底辺の間に細かく順位を設定し、人間の順位を決める仕組みのことです。

順位を探り合うことで、人間は知らずのうちに奴隷への道を歩み始めます。なぜならば、ひとつ上の階級にいくためには、多大な自己犠牲が求められるからです。

実はカルト宗教では「階層化」による支配が基本です。あの地下鉄サリン事件で世間を騒がせたオウム真理教も、信者でないとわからないような細かいランキングのもとに、修行を積んでいたのです。

オウム真理教の階層
  • 神聖法皇
  • 正太師
  • 正悟師
  • 悟長
  • 悟長補
  • 悟師
  • 師長
  • 菩長
  • 愛長
  • 師長補
  • 菩長補
  • 愛長補
  • 菩師
  • 愛師
  • 小師
  • 師補
  • サマナ
  • サマナ長
  • 沙門
  • サマナ見習
  • 準サマナ

【出典:教団のステージ

階層化は軍隊や企業でも導入されており、転職市場では「年収別」で細かく企業が検索できるようになっています。

転職市場の階層化

「年収800万円以上の求人」などというメッセージに魅力を感じる人が多いのも、仕事を年収で階層化することを無意識に受け入れているからです。

年収800万円以上の求人

階層化はマーケティングにも利用されています。ターゲットを金融資産3,000万円、4,000万円、1億円などにわけて、1億円以上を「富裕層」に格付けしたりします。しかし金融資産1億円などというのは、海外の先進国でいうならば立派な「労働者層」です。

Forbes(フォーブス)によればAmazonの創業者のジェフ・ベゾス氏は、1120億ドル、日本円で11兆8,720億円の金融資産をもっているそうです。また国際貧困支援NGO「オックスファム」の報告によれば、「世界のトップ62人の大富豪が、全人類の下位半分、すなわち36億人と同額の資産を持っている」とのこと。

世界の富の半分をわずか62人の富豪がもっているという状況を理解していれば、「1億円の金融資産をもっているあなたは富裕層の仲間入りです!」とおだてられたからといって何が嬉しいのでしょうか?

そもそも本当の権力者は、Forbesの億万長者ランキングで紹介されるわけがありません。これまでお金のことについて勉強してきたあなたであれば、わたしがこれから何を言うのか薄々勘づいていると思うのですが、本当の権力者は、その存在すらうかがい知ることができない国際銀行家のみなさんです。

Amazon、Google、Facebookなどの成長の軌跡をみれば明らかです。たとえばAmazonは創業してから何年間もずっと赤字企業でしたが、事業を継続できたのは巨額のお金を金融マーケットから調達し続けることができたからです。つまり創業者の大きなビジョンと経営手腕があれば、必ず上場できるというのは「幻想」だということです。

将来どうなるかもわからないベンチャー企業が株式上場するためには、証券会社やメディアなどの関係者の協力が必要不可欠です。仮に上場したとしても、株券が売れなければ株には値段がつきません。ではどうするか?答えは簡単です。証券会社が頑張って「売る」のです。

どうしたら株が売れるのでしょうか?答えは簡単です。証券会社のアナリストや、メディアが一致団結して、投資家の「期待感」を醸成するのです。お金を生み出しているのも、メディアを牛耳っているのも国際銀行家の方々です。金融機関やメディアの協力がなければ、株式上場なんて夢のまた夢……なのが現実です。

日本でも一部上場企業の社長は「時代の風雲児」としてチヤホヤされたり、人気女優さんと交際するなどして話題になります。多くの国民が「いいなぁ。あんな人生なら楽しいだろうなぁ。」と憧れるわけです。

問題はここからです。何かに憧れる気持ちがいつの間にか「お金」に入れ替わることは、本当によくあることなのです。

たとえば「みんなから尊敬されて名声を得たい」という気持ちがいつの間にか「長者番付にランキングされたい」という願望に入れ替わってしまったり、「素敵な人と交際して愛を深めたい」という気持ちがいつの間にか「いつか人気女優と交際したい」という願望に入れ替わってしまうのです。

ちなみにある上場企業の創業者は、こんなことをいっていました。

某上場企業社長の嘆き

社長になっても、上には上がいる。経団連の会合に参加したら、ソフトバンクの孫さんをはじめとした超・有名人や権力者ばかりで、俺なんて超・下っ端。

医学部に入学できたと喜んでいたら、大学病院の厳しい上下関係にウンザリするのも、きっと同じような気持ちなんだろうね。毎日投資家には、「お前は夢が小さい!」と電話で怒鳴られたりするし……株式上場してお金持ちになれたと思ったんだけど、株は売れないんだよね。俺が株を売ったら暴落しちゃうから。(笑)

俺は、じぶんの仕事を「社長業」だと思っているよ。年商1億円~200億円弱までの事業経営ができる人ってあんまりいないでしょ?会社追い出されても、どこかで社長やっていると思う。

つまりこれまでの話でわたしが伝えたいことはシンプルです。「お金で幸せを手に入れようとしても裏切られる可能性が高い」ということです。

脱サラして起業を成功させるだけでなく、上場を実現させたにも関わらず、「上には上がいる」、「投資家から怒られる」、「株売れないからそんなにお金はない」とボヤいているのです。

もちろん「下には下がいる」、「投資家から無視される」、「借金で首が回らない」と嘆くよりはマシなのかもしれませんが、「お金があれば幸せになれる」というのは幻想でしかないのです。

それにも関わらず、日本人の多くはピラミッドの階段を上がることに非常に熱心です。なぜ社員は奴隷のように一生懸命仕事してお金を稼ぎ、経営者から搾取されても文句をいわずに働くのでしょうか?

日本人が従順になってしまう根本には、やはり……「お金」の存在があるのです。

自然に生み出される権力

生権力(バイオパワー)という言葉をご存知でしょうか?生権力とはひらたくいうと「自然に生み出される権力」のことです。

生権力の有名な例としては、ミシェル・フーコーが著書『監獄の誕生』で提示した「パノプティコン」という概念が有名です。

パノプティコン

パノプティコンとは、監獄を見張る一望監視システムのことです。(上図参照)

監獄の高い塔に看守がいて、その看守たちが囚人たちを見張っているのです。不思議なことに、囚人たちは監獄からの逃亡や暴動を企てなくなりました。その理由はシンプルです。「いつ見られているかわからないから」です。

このことを発見した時、ミシェル・フーコーは囚人の行動を縛っている何らかの力が隠れていることを看破したのです。ミシェル・フーコーはこの力のことを「生権力」(バイオパワー)と名付けました。

通常であれば、権力は直接的な力の行使によって形成されますが、生権力は間接的な権力であることに注目してください。直接的な支配とはたとえば「24時間365日監視する」という行為でしょう。一方の間接的な支配とは、「監視されているかもしれないし、監視されていないかもしれない」というあやふやなものなのです。

「監視されているかもしれないし、監視されていないかもしれない」という、あやふやなものに、わたしたちは恐怖を感じ、行動を制限されることがあるなんて驚きませんか?

日本人が理解しやすい例を1つ挙げるとするならば、たとえば「わたしは天国でいつもあなたを見守っているから、まじめに生きるんだよ!」というおばあちゃんや両親のセリフも生権力の一つといっていいでしょう。

そして実は……「金融資本主義」も生権力として作用しているのです。

奴隷であることに気づけない仕組み

そもそも金融資本主義のシステムにおいて、すべての国民が必要とするお金は、この世に存在していません。

つまり椅子取りゲームのなかで椅子(お金)を得ようとすれば、必ず競争に勝つ必要があるわけです。そして日本人の多くは生まれた時から金融資本主義の世界に慣れ親しんでいるので、金融資本主義以外の世界を受け入れることができません。

つまり生まれたときから「競争するのが当たり前」なので、資本主義が大量の敗者を生み出すシステムであることを、はっきりと自覚することすら難しいのです。

もちろん「勝つために競争するのが正義」という価値観が露骨に喧伝されることはありません。驚くほど巧妙なやり方で無意識に刷り込まれるのです。

たとえば学生スポーツ(甲子園)では、勝つことよりも「成長」や「人間性」がフォーカスされます。「学生はこうあるべき」というイメージがハッキリしていたりします。たとえば高校球児は坊主と相場が決まっています。

事実、学生時代のことなんて忘れてしまっているはずの大人の多くが、高校球児のまっすぐなスポーツマンシップに感動して涙を流します。

なぜ感動したり涙を流すのでしょうか?答えは簡単です。大人の世界と子どもの世界では、価値基準がまったく異なることを無意識に感じ取ってしまうからです。

つまり「学生はこうあるべき」というイメージの裏には、「学生と社会人は違う。社会人になったら別世界(弱肉強食の競争社会)」というメッセージが隠れているのです。

つまり生権力が発動するスイッチは、社会人になってから埋め込まれるわけではないのです。生権力が発動するスイッチは、学校教育のなかだけでなく、本当にあらゆるところにひっそりと、そして堂々とそこにあるのです。

たとえば、警察に24時間密着して犯罪を取り締まるテレビ番組や、マイナンバー施行なども生権力として働きます。本当にあらゆるところに生権力は隠れているのです。生権力の恐ろしさは、その餌食になっていることを自覚するのが難しいという点にあります。

そのため「お金持ちになりたい!」という煩悩が焚きつけられるだけで、わたしたちは積極的に奴隷への道を歩み始めるのです。しかも……恐ろしいことに……奴隷への道を一直線に歩んでいるのに、当事者は悪い気がしないどころか、次第に奴隷であることが気持ちよくなってしまうのです。

生権力に支配されると、じぶんが権力者に搾取されているという感覚も、虐げられたという感覚も、まったくもてなくなるのです!

先日某居酒屋で飲んでいたとき、「今日も終電まで仕事だったけど、俺は社畜だからしょうがないか!」と笑いながら発言しているサラリーマンがいました。社畜になるつもりで社会人になったわけでなくとも、働いているうちに魂まで社畜になってしまうのです。

たとえば「社畜としてサービス残業しているのに、文句の一つもいわずに黙々としている俺ってすごい!」という歪んだ考え方をいつの間にか肯定するようになり、反対意見があれば全力で叩き潰すようになるのです。

結果として仮に社長を目指すプロセスが、じぶんの大切な時間という資源をドブに捨てるような行為であっても「理不尽だ」とは考えず、「上を目指すのはいいことだ」と信じて疑わなくなるのです。

まとめ

「出世するためだけに頑張るのが何が悪いの?」とか、「お金のために頑張るってそれほどいけないこと?」と堂々と主張されると、反論するのは難しいのではないでしょうか。そう。金融資本主義は、奴隷に奴隷であることを気づかせないもっとも恐ろしい生権力の一つなのです。

さて……金融資本主義そのものが生権力であることを理解したとして、わたしたちはどうすればいいのでしょうか?会社を捨てますか?日本を捨てますか?資本主義を捨てますか?お金を捨てますか?宗教の世界に入り浸りますか?

わたしがおすすめしているのは、「あなたの道」を歩むことです。

「あなたの道」を歩む上で必要であれば必要なだけお金を稼いでください。お金は目的ではなくあくまでも手段なのですから。

【完】

■ 経済の記事一覧

okanenokihon 『経済』の世界