インフレ・デフレ

1万円に絶対的な価値があると信じている人は意外に多いのですが、残念ながら「お金には絶対的な価値がある」という考えはもはや信仰であり、幻想でしかありません。

なぜならば「お金とは情報(データ)」であり、データである以上は、あらゆる影響によって価格が上下するからです。今回の講義では「インフレ・デフレ」というテーマを通じて、お金には絶対的な価値などなく、お金の価値は相対的だということを理解していただきます。

ジンバブエのハイパーインフレ

この動画は、ジンバブエ(アフリカ南部の国)に2009年に取材したときのものです。ゼロがたくさん記載された超高額紙幣が登場したことが、驚きをもって伝えられています。(動画の質が低いですがご容赦ください)

この時の通貨レートは1米ドル=3京5,000兆ドルですから、こうなると紙幣にはトイレットペーパーほどの価値すらありません。実際に紙幣を山のように積んでも、ティッシュ1箱、トイレットペーパー1ロールも購入できないのです。

ジンバブエドルが導入された1980年代当初、ジンバブエドルには米ドルよりも高い通貨価値がありました。しかし経済政策の失敗を繰り返し、年間インフレ率が2憶3,100万%という天文学的な数字を記録。札束にほとんど価値がないハイパーインフレに突入したのです。

もちろんジンバブエは経済発展していないアフリカの1国であり、先進国日本と比較することはできません。しかしジンバブエで起こったことは、お金の本質を表していると思うのです。そうなんです。お金に絶対的な価値が保証されているわけではないのです。

インフレ・デフレの定義

日本人はジンバブエのハイパーインフレのニュースをみても「お金には絶対的な価値がある」ということを無意識に信じて疑いもしません。なぜならばわたしたちは日常的に「お金には絶対的な価値がある」という情報を刷り込まれてしまっているからです。

もちろん「お金には絶対的な価値があるんだからね!」と教えられるわけではありません。嘘の情報を刷り込む方法は、想像以上に巧妙なのです。

たとえば「インフレーション」という言葉を説明するとき、どんな書籍であっても「物価の上昇」と解説されています。また「デフレーション」という言葉を説明するときも同様に、「物価の下落」と説明されています。

例えば1杯350円の牛丼が400円に値上がりしたとき「インフレ」といい、1杯350円の牛丼が300円に値下がりしたとき「デフレ」だと報道されるのです。しかし……

インフレーション、デフレーションという用語を「物価の上昇・下落」と説明している時点で「まっかな大嘘」

なのです。

なぜならば実際に変動しているのは「物価」ではなく、「お金の購買力(価値)」だからです。

つまりインフレとは「お金の購買力(価値)が下がっていること」であり、デフレとは「お金の購買力(価値)が上がっている」ことなのです。

お金の購買力は変動する

どのような場合に「お金の購買力(価値)」が変動するのでしょうか?

国内要因

「国内にどれだけお金があるか?」という国内事情によって「お金の購買力(価値)」は増減します。

例えばたくさんの人がほしいクルマがあるのに、全員が購入するだけのお金が日本にないとしたらどうなるでしょうか?

日本全体でみたときに、商品・サービスはあるのにお金が足りていない場合、お金の希少価値が高くなります。つまり1円あたりで購入できる商品・サービスは多くなります。結果、少ないお金で商品・サービスを購入できる状態になります。この状態のことを「デフレ」といいます。

逆に日本全体でみたときに、商品・サービスは足りていないのにお金がジャブジャブにある場合、お金の希少価値は低くなります。つまり1円あたりで購入できる商品・サービスは少なくなります。結果、たくさんのお金を出さないと商品・サービスを購入できない状態になります。この状態のことを「インフレ」といいます。

対外要因

国内要因とは別に対外的な要因で「お金の購買力(価値)」は増減します。例えば対外的な要因のひとつに「為替」の問題があります。

「円安ドル高」という言葉があるとおり、他国の通貨と比較したときに円の価値は日々変動しているのです。円の価値は絶対ではないのです。

ですからあなたが今日100万円稼いだとしても、1年後に今日と同じだけの商品・サービスを購入できる保証は一切ないのです。

例えば日本は海外からたくさんの石油を輸入してエネルギーをまかなっています。アラブの石油はドルで決済されていますので、円安ドル高になるとドル高になった分だけ円の支払額が増えます。

円の支払額が増えるということは、石油の価格が値上がりしたということであり、エネルギー価格が値上がりします。そしてエネルギーの価格というものはあらゆる商品・サービスの原価になるわけですから、最終的にあらゆるものの価格が値上がりします。

次回の講義では、お金の価値を変動させる国内要因と国外要因のそれぞれについて、もう少し深堀していきます。

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