メディアはわかりやすい嘘で国民を騙すことはしません。わたしたちをコントロールするメディアの手法は非常に巧妙なので、そのカラクリに自力で気づくことはほとんど不可能です。
そこで今回の講義では、大手メディアがわたしたちをコントロールする代表的な手法を明らかにしたいと思います。
馬鹿にする
わたしは、日本のテレビ局が馬鹿な日本人をつくるプロジェクトを現在進行形で推し進めているように感じています。
その典型は、テレビ画面にテロップや字幕風の活字の活字(スーパーインポーズ)を映すやり方ですが、実は人間のIQを下げる効果的な方法だといわれているのです。
視聴者はぼーっとテレビを視聴していれば内容が理解できるので、そのうちテレビ画面を目で追うことだけに集中することになります。そしてテレビ画面を目で追っているうちに、抽象的な思考を抑圧されて、能動的に思考を行うことができなくなるのです。
また一昔前であれば、無教養な人間がテレビに出演すれば「恥ずかしい」とか、「もっと勉強しろ!」という視聴者からの風当たりも強かったように思いますが、風向きが少しずつ変わってきているように感じます。
おバカタレントというジャンルが登場し、「無教養な人間がチヤホヤされる」という状況が生まれています。また「馬鹿の何がわるい!?」と開き直る人も堂々とテレビに出演しています。
また報道番組なのかバラエティー番組なのかよくわからないジャンルの番組が増加し、「オモシロければ、それが正義」という空気があると感じます。
情報遮断
あなたはお金のことを勉強すればするほど「なんでこんな簡単なカラクリを誰も教えてくれないのか?」と不思議に思いませんでしたか?
実はわざと難しい専門用語を使って、わたしたちを理解不能にさせることこそが、メディアの情報遮断のやり方なのです。
例えば経済学の専門家や法律の専門家などが、専門用語を用いて断片的な解説をすることなどは、まさに情報遮断の具体例です。
また説明しているフリをして攪乱するというやり方以外にも、情報遮断は見受けられます。例えば「完全に隠す」という方法もあります。
ある日報道番組を視聴していると、こんな会話がありました。「え~、重要な論点は5つありますよね。A、B、C、D、Eの5つですよね。」とキャスターが論点を整理しました。
すると解説委員が「ちょっと待ってくださいよ!論点はもう一つありますよ。論点Fを忘れないでください!」とツッコんだのです。キャスターは最後に、「ありがとうございます。大事なことは全部で6つでしたね!」とまとめたのですが、わたしは大きな違和感を覚えました。
なぜならば……7つ目の論点が隠されていることに気づいてしまったからなのです。「おいおい、絶対にわざとだろ」とテレビ画面の前でツッコんでしまいました。おそらく隠された論点は都合の悪いことだったのでしょう。
情報遮断は、テレビだけでなくあらゆるところで応用されています。
例えば「つっぱねる」、「はぐらかす」というのも、情報遮断のひとつの形態です。例えばあなたが何かを質問したときに、「そんなことに答えるのも馬鹿馬鹿しい」という態度をされたり、「それ以上質問するのは野暮ったい」という空気をつくられたことはありませんか?
情報を遮断する側は、わたしたちがそれ以上の内容にツッコむことができないように固くガードするのです。そしてわからないことを、わからないまま鵜呑みにするようにワザと少し時間をおいて、わたしたちが納得するまでじっと沈黙を守るのです。
情報の書き込み
情報が遮断された頭には、情報の空白が生まれます。そして情報の空白には、偽の情報を書き込みやすいのです。
例えばテレビは「日経平均が好調」であることを報道します。その一方で、「デフレから脱却できない」、「少子高齢化で日本の将来は暗い」というマイナスの情報を刷り込みます。
そしてテレビ番組に出演している専門家は、結局のところ「わかったようなわからないような」説明に終始します。
つまり視聴者は「日本は景気がいいのか?」、「景気が悪いのか?」、テレビを視聴すればするほどわからなくなる仕組みになっているのです。
「よくわからない」という情報の空白に、「老後のために●●万円貯蓄しないと不安」という情報が書き込まれたらどうなるでしょうか?
視聴者は「そうか!要するに貯蓄すればいいのね!」と納得するしかありません。しかしこれまでお金のことを勉強してきたあなたなら「貯蓄すればいい」と信じ込まされた時点で、罠にハマっていることを理解できるはずです。
叩く
権力者にとって都合の悪い人物や企業を徹底的に叩くことで、社会的信用を失墜させることは、昔からよくある手口の一つです。あえて具体例は挙げませんが、社会的信用を失墜させられた企業のその後を追うと驚くべき事実が隠れていたりします。
たとえば外資系のハゲタカファンドに株を大量に買い叩かれていたり、その会社が所有していた都心の一等地が「売却先不明」のまま処分されていたりします。
わかりやすくかつ有名な例を1つ挙げるとすれば……「ホリエモン」こと堀江貴文氏は実刑となりましたが、堀江貴文氏よりも悪質な犯罪を手引きした経団連企業(例えば東芝)の会長・社長たちは「不起訴」のまま責任をとっていなかったりします。
そらし
そらしとは、何か重要な事件の存在を隠すために他の些末なニュースを大々的に取り上げたり、事件の本質から視聴者の注意をそらすために論点を刷りかえることです。
例えば国会にて、国民にとって特に重要だと思われる法案が議論されている最中に、芸能人が逮捕されたり、不倫騒動が報道されたりします。
宣伝
「スポンサーの意向に沿った番組作成が行われているのではないか」と感じる番組構成はよく目にします。わかりやすい例では、成人病や高血圧などの増加を伝えるニュースの後に、「ダイエットジムのCM」が流れたことがありました。
また交通事故などの悲惨なニュースのあとに「自動車保険」や「生命保険」のニュースなどのCMが流れることも日常茶飯事です。テレビ局は利益追求のために真剣に仕事をしているのです。
またテレビを視聴していると、気持ちが暗くなったり、イライラしたり、腹が減ったりすることがあると思いますが、テレビ局の「狙い通り」なのです。
リアリティーの形成
もう一昔前の話になりますが、ある知人女性が某航空会社のキャビンアテンダントとして採用されました。わたしは「おめでとう!」といいました。
しかしその女性の親戚のアメリカ人男性は、「キャビンアテンダントなんて肉体労働者だろ?なぜキャビンアテンダントになれたと喜んでいるんだ?」と不思議に思ったそうです。
なぜ日本人は、キャビンアテンダントという職業に高い好感度をもっているのでしょうか?
答えは「キャビンアテンダントは素晴らしい職業」だというテレビ番組によってつくられたリアリティーを無意識に受け入れているからです。
日本のために頑張っているサラリーマンなんてたくさんいるのに、なぜ特定の職業だけがドラマで美化されるのでしょうか?その狙いはどこにあるのでしょうか?
リアリティーが形成されるのは、職業だけではありません。
例えば「勝ち組」という言葉があります。勝ち組といえば、タワーマンションに住み、高級ワインを飲みながら毎日美食を楽しんでいるイメージがあるかもしれません。
しかしいわゆる「勝ち組」の実生活は、馬車馬のように働き毎日寝不足、会社からタクシーワンメーターの距離に住むことを義務付けられ、配偶者からは浮気を疑われるという日常生活だったりします。
冷静になって考えてみてください。いわゆる「勝ち組」の生活って、本当に楽しいのでしょうか?
実際のところ「いわゆる勝ち組」のリアリティーもつくられたものなのです。なぜ上昇志向のリアリティーを作り上げるのかといえば、負け組がしのぎを削って頑張ってくれたほうが、都合のいい人たちがいるからです。
「ワークライフバランスを大事にしたいので、定時以降は仕事をしたくありません!」という人間が増加すればするほど、企業も困りますし、国も税収が上がらずに困ります。ですから「こうあるべき」というリアリティーを、テレビや広告代理店はでっち上げるのです。
さらにいえば「ブーム」や「カルチャー」も演出されたリアリティーだったりします。食事、趣味、ライフスタイル、仲間意識、性愛など……あらゆる側面でリアリティーが形成されて、そのリアリティーがそっくりそのままわたしたちの価値基準になっているのです。
わたしたちは、他人がでっち上げたリアリティーに価値基準を置いていることにすら、気づくことすらできません。それにもかかわらず、「自分で全部決断している」と信じて疑いもしないのです。
まとめ
「公正な情報」というものは、この世に存在するのでしょうか?情報や見解などは無数に存在するという現実のなかで、100%公正や中立な報道を実現することは難しいのではないでしょうか?「さも常識」であり、「唯一の正しい事実」であるかのように装っている情報こそが「怪しい」のではないでしょうか?
「テレビや新聞を見るな!すべてを疑え!」とまではいいません。テレビや新聞も重要な情報源であることは間違いありません。しかしだからこそ、様々な情報源をチェックして最終的に自分なりの真実を導き出すこと以外に、自分の身を守る方法はないのです。
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