金本位制から管理通貨制度へ

お金の価値がモノで裏付けされていた時代もありました。「わたしのお金をゴールドに変えてください」とお願いすれば、本当に紙幣をゴールドに交換してくれた時代があったのです。

しかし現代においてお金の価値は政府に対する「信頼」だけで支えられています。そこで今回の講義では過去の制度「金本位制」から、現代の制度「管理通貨制度」までの歴史を解説します。

金本位制

世界各国に中央銀行が設立されたのは、19世紀ごろからでした。日本の中央銀行である日本銀行も1882年に開業しています。

中央銀行が開業した頃は、どの国の中央銀行も「金本位制」を採用していました。金本位制とは「ゴールドを通貨の価値の基準にする」制度のことです。

金本位制とは?

中央銀行は発行した通貨と同額の通貨を常時保有し、ゴールドと通貨の兌換(交換)を保証していたのです。しかし世界大戦や1929年の大恐慌などで経済が不安定になると、人々は「預金を金(ゴールド)と引き換えたい」という欲求に駆られて銀行窓口に殺到します。

しかし中央銀行ではない民間銀行は、もともと手持ちの金(ゴールド)以上のお金を発行していたために、人々の兌換要求(預金をゴールドにしてほしい!)に応じることができませんでした。

兌換要求に応じることができない銀行は次々に倒産し、その銀行から融資を受けていた企業だけでなく、倒産した銀行に預金をしていた企業まで巻き添えになって次々に倒産したのです。企業の連鎖倒産により街には失業者があふれました。

この悲惨な状況を打開するために、ニクソン大統領は「ドルと金(ゴールド)の兌換停止」を1971年に宣言しました。いわゆるニクソンショックというやつです。ニクソンショックにより金本位制は完全に終焉し、先進各国は管理通貨制度に移行することになりました。

管理通貨制度

管理通貨制度とは、政府や中央銀行が通貨供給量を決定し、通貨の発行量を調節する制度のことです。管理通貨制度によって、各国は金の保有量に関係なく通貨を発行できるようになりました。

この時点で通貨の価値を裏付けるものが「信用」しかなくなってしまったのです。

管理通貨制度とは?

通貨の価値をゴールドだけで担保するのが難しければ、銀、銅、ダイヤなどの貴金属や宝石で担保するという手段もあったはずです。

しかし金本位制が終了し、管理通貨制度に移行すると同時に、お金の価値をモノの価値と結びつけることを一切放棄してしまったのです。

ちなみに、管理通貨制度で流通する紙幣のことを「不換(ふかん)紙幣」と呼んだり(兌換できない紙幣という意味)、信用だけで成り立っている通貨という意味をこめて「信用通貨」と呼んだりします。

まとめ

日本では日本円を利用しないと買い物もできないし、税金だって円で納める必要があります。

日本人の多くは生まれた時から日本円を使用することが当たり前の生活をしているため、いつの間にか「お金≒絶対的な価値がある」と勘違いしているのです。

でもあなたは既に理解しているはずです。「お金はデータ」であることや、「銀行は誰かの借金を根拠にお金を生み出しているに過ぎない」ということを。そして「銀行が融資するお金は銀行のお金である」という神話が完全な誤解であることを。

もしかしたら今、あなたは疑問に思っているかもしれません。「なぜ銀行が融資するお金が、銀行のお金であると錯覚してしまうのだろうか?」と。「なぜ簡単なカラクリに多くの日本人が気づかないのか?」と。

その答えは次回の講義のなかで明らかにしていきたいと思います。

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