小さな違和感を大事にしよう

『嫌われる勇気』の目次を読むと、一章・二章・三章という区切りではなく、第一夜・第二夜・第三夜というような区切りになっていることがわかります。『嫌われる勇気』とその続編の『幸せになる勇気』は、岸見一郎さんや古賀史健さんたちによる、数年間にもわたる対話がベースになっているため、第一夜・第二夜・第三夜というような区切りになっているのでしょう。

ですからあなたが『嫌われる勇気』をサクサク読んですぐに内容が理解できたとしても、できればしばらく時間を置いてみて、繰り返し読んでみてほしいのです。『嫌われる勇気』に書かれている知識を吸収することに集中するのではなく、『嫌われる勇気』全体の雰囲気のようなものを味わうことが、アドラー心理学をより深く理解することにつながっていると思うからです。

たとえば・・・

あなたのご職業は?

第三夜の序盤には、哲人と青年の以下のようなやりとりがあります。

哲人
哲人

そういえば聞いていませんでした。あなたのご職業は?

青年
青年

いまは大学図書館の司書として働いています。まあ、うちの両親としては、兄がそうしたように父の印刷工場を継いでほしかったようです。おかげで職に就いて以来、多少関係がぎくしゃくしていますよ。

哲人が青年の職業を知るのが、第一夜ではなく第三夜という点に驚く人もいるかもしれません。なぜならば哲人は、青年の職業も知らないままに第一夜と第二夜を過ごしていたことになるからです。

自己紹介イコール職業を伝えることと信じている人にとっては、哲人が青年の職業についてそれほど興味をもっていないことに対して、違和感をもつのではないでしょうか。『嫌われる勇気』を読む場合には、そのような些細な違和感を見逃さないでほしいのです。

小さな違和感

なぜ哲人は、青年の職業にそれほど興味をもっていないのでしょうか?なぜ青年は、哲人に職業を積極的に伝えようとしないのでしょうか?

大学図書館の司書という仕事に対して、哲人は誇りをもっていないようです。そしてそのような職業に就いている自分の価値を、低く見積もっています。ですから自分の職業を伝えることに消極的だとしても不思議ではありません。

その一方でなぜ哲人は、青年の職業を第一夜・第二夜の時点で質問しなかったのでしょうか?「どうせ青年はたいした職業に就いていないだろう」と軽んじていたので、職業のことが気にならなかったのでしょうか?『嫌われる勇気』を読めば、そうではないことがわかると思います。

哲人と青年では、対人関係をとらえる世界観が大きく異なっているのです。哲人の対人関係に対する世界観とは、どのようなものなのでしょうか?

『嫌われる勇気』を慎重に読めば、あなたなりの答えを導き出せると思います。是非、『嫌われる勇気』は、ゆっくりと慎重にそして繰り返し読んでみてください!

ゆっくりと慎重にそして繰り返し『嫌われる勇気』を読めば、あなたが現在抱えている問題に対して、哲人とどのような対話をすることになるか想像できるようになるはずです。

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