フロイト、ユング、アドラーの違い

フロイト、ユングと並び「心理学の三大巨頭」と称され(以下、省略)

わたしはアドラー心理学についてほとんどまったく知識がない状態にも関わらず、フロイト、ユング、アドラーが「心理学の三大巨頭」であることを知ってすぐさま、アドラーだけでなくフロイトやユングの心理学についても気になってしまいました。

あなたはフロイト、ユング、アドラーの違いが気になりませんか?フロイト、ユング、アドラーの心理学は、それぞれどう違うのでしょうか?

無意識の発見

「フロイト、ユング、アドラーの心理学はそれぞれどのような共通点があり、どのような違いがあるのでしょうか?」という質問は、実はかなりの難問です。

真正面からこの質問に答えるためには、分厚い辞書2冊分くらいの文字数が必要になります。実際に『無意識の発見』(上巻と下巻の2冊)という分厚い本を読んではじめて、わたしはフロイト、ユング、アドラーの違いをぼんやりと理解することができました。

ちなみに『無意識の発見』の上巻はフロイト以前の心理学についての詳しい説明があり、『無意識の発見』の下巻になって、ようやくフロイト・アドラー・ユングの説明がはじまります。『嫌われる勇気』を読むよりもはるかに大変ですが、もしあなたが本当にフロイト、ユング、アドラーの心理学について比較したいなら、是非、挑戦してみてください!

さて・・・わたしが『無意識の発見』を読んでわかったことは、フロイト、アドラー、ユングの思想は「それぞれまったくの別物」ということです。たとえるなら「情報を伝えるツールには、テレビ・新聞・ラジオがあるが、それぞれどのような違いがあるのでしょうか?」という質問に答えるようなものです。

しかも厄介なことに、フロイト、ユング、アドラー全員に、理論の変遷があります。フロイトもユングもアドラーも、時代によって主張が異なるため、それぞれの理論を比較するのは容易ではありません。

そこで今回は、「フロイト、ユング、アドラーの心理学はそれぞれどのような共通点があり、どのような違いがあるのでしょうか?」というテーマではなく、「同じ心理学であるはずなのに、フロイト、ユング、アドラーの心理学がそれぞれまったくの別物になってしまうのは、なぜなのか?」というテーマについて、心理学の専門用語を一切使うことなく説明してみたいと思います。

宇宙際タイヒミュラー理論

数学には『ABC予想』という1985年から未解決の難問があったのですが、2012年に京都大学の望月新一教授が証明に成功しました。しかし欧州数学会が発行する専門誌「PRIMS(プリムス)」が、望月新一教授による証明を認めるまでには、7年半もの時間が必要でした。なぜ7年半もの時間が必要だったのでしょうか?

望月新一教授は『ABC予想』を証明するために、『宇宙際タイヒミュラー理論』という新しい理論的な枠組みを発明したのですが、『宇宙際タイヒミュラー理論』を理解するのは、実力のある数学者ですら容易ではなかったのです。

突然、心理学とまったく関係のない『宇宙際タイヒミュラー理論』について紹介したのは、ちゃんとした理由があります。フロイトの『精神分析』、アドラーの『個人心理学』、ユングの『分析心理学』は、それぞれが人間の精神というよくわからないものについて説明するための新しい理論なので、それぞれまったくの別物になってしまうのは不思議でもなんでもないし、むしろ自然なことなのです。

もちろん『精神分析』『個人心理学』『分析心理学』はそれぞれ似ているところもあるのですが、それぞれが異なる理論なので、たとえば「無意識」や「自我」などの基本的な概念ですら、それぞれ同じ意味ではありません。ですからフロイト、アドラー、ユングを比較するのは、おそらく心理学の専門家であってもムズカシイと思います。

ですからもしかつてのわたしのように、あなたが『個人心理学』(アドラー心理学)だけでなく、フロイトやユングにも興味をもったとしても、「フロイト、アドラー、ユングはどう違うのか?」「アドラーよりフロイトのほうが年上だから、フロイトから学んだほうがいいだろうか?」などと気にする必要はありません。

望月新一教授は『ABC予想』を証明するために、『宇宙際タイヒミュラー理論』という新しい理論的な枠組みを発明しましたが、だからといって『宇宙際タイヒミュラー理論』以外の理論、たとえば『代数幾何学』『微分方程式』などの数学の理論が間違っているわけではありません。

同様に、人間の精神を解明するために、フロイトは『精神分析』なるものをはじめたわけですが、アドラーの『個人心理学』や『分析心理学』が間違っているわけではないのです。

以上の議論を踏まえて、あくまでの個人的な感想を申し上げるなら、『個人心理学』(アドラー心理学)から学ぶことをおススメします。なぜならばもっともわかりやすいからです。

むしろフロイトやユングに関する知識は、アドラー心理学を学ぶ上での障壁になりかねないので注意が必要です。事実、今回紹介した『無意識の発見』には以下のような記述があります。

アードラーを学ぶには、読者はこれまでに学んだ精神分析学に関するすべての知識をひとまず棚上げにして、全く違った考えかたに頭を切り替える必要がある。

【出典:無意識の発見(下)p.189】

ですからまずは安心して『個人心理学』を学んでください!

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